今日の欧米外為市場では、ポンド・円は伸び悩む展開を予想したい。メイ英首相が前日、電撃的に解散・総選挙の意向を示し、政権基盤の強化を期待したポンド買いが強まった。ただ、英国内の欧州連合(EU)残留を望む声は根強く、保守党の勝利は安泰とは言いにくい。ポンド・円が上げ渋れば、ドル・円の上昇も限定的となりそうだ。

英国のメイ首相が18日に解散・総選挙の意向を表明し、議会の3分の2の賛成を得られれば、2020年に予定されていた総選挙を今年6月8日に前倒し実施する。保守党は昨年6月の国民投票ではキャメロン首相(当時)がEU残留支持を訴える一方、ジョンソン外相は離脱支持と党内でも議論は分かれたが、投票結果を受けメイ政権下で今年3月にEUに対し離脱を通告。現政権が国内での基盤を強化できれば、EUとの交渉を進めやすくなるメリットが考えられる。直近の世論調査では、最大野党・労働党の不人気で保守党圧勝が予想されており、前日の海外市場では与党圧勝を期待したポンド買いが強まった。

ただ、昨年6月23日に行われた英国民投票(投票率72.1%)では、「離脱」(51.9%)、「残留」(48.1%)と接戦となり、その後も世論調査ではEU残留支持は40%程度と根強い。自由民主党やスコットランド国民党などの野党は、引き続き残留支持者を取り込んでいるようだ。労働党はコービン党首が「国民のためになるブレグジット」を主張するなど保守党への対抗勢力になりきれていないものの、党首交代で新鮮さをアピールしたり、残留で結束したり、巻き返す可能性はあろう。今後の労働党の対応次第では選挙情勢が変わるとみられ、保守党敗北への思惑が広がれば、ポンドの上昇は限定的となりそうだ。(吉池 威)

【今日の欧米市場の予定】
・17:00 南ア・3月消費者物価指数(前年比予想:+6.4%、2月:+6.3%)
・18:00 ユーロ圏・2月貿易収支(予想:+162億ユーロ、1月:-6億ユーロ)
・18:00 ユーロ圏・3月消費者物価指数改定値(前年比予想:+1.5%、速報値:+1.5%)
・20:00 米・MBA住宅ローン申請指数(先週)(前回:+1.5%)
・01:00 ローゼングレン米ボストン連銀総裁講演
・03:00 米地区連銀経済報告(ベージュブック)




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情報提供元: FISCO
記事名:「 欧米為替見通し:ポンド・円は伸び悩みか、安泰ではない保守党圧勝シナリオ