今日の欧米外為市場では、弱含みの展開を予想したい。シリア情勢をめぐり米ロ間の緊張が高まっており、リスク回避的な動きに振れやすい見通し。両国は妥協点を見出せない公算で、ドル売り・円買いの流れは続きそうだ。

米国が4月6日にシリアへの軍事攻撃に踏み切ったことをきっかけとして、アサド政権の後ろ盾となっているロシアとの関係が悪化している。これに関連し、ティラーソン米国務長官はロシア入りし、日本時間の本日夕方からラブロフ外相と会談する予定。ロシアに対しアサド政権との関係見直しを説得できるか注目されている。

今年1月に就任したトランプ米大統領はロシアとの関係改善に意欲を示していたが、医療保険制度改革(オバマケア)の代替法案の成立に失敗。内政の行き詰まりを外交などで取り返す狙いもあり、米国はシリア攻撃の正当性をロシアに主張する見通し。ただ、ロシアは中東での影響力を堅持したい意向で、両国が折り合いをつけるのは困難とみられる。

このため市場の警戒はなお続く見通しで、円はリスク回避的な買い基調が継続しそうだ。ドル・円は下値で意識されていた「トランプ・ラリー」の半値である109円90銭付近を割り込んでおり、目先は下落余地を探る展開が予想される。(吉池 威)

【今日の欧米市場の予定】
・17:30 英・12-2月ILO失業率(予想:4.7%、11-1月:4.7%)
・20:00 南ア・2月小売売上高(前年比予想:-1.8%、1月:-2.3%)
・20:00 米・MBA住宅ローン申請指数(先週)(前回:-1.6%)
・21:30 米・3月輸入物価指数(前月比予想:-0.2%、2月:+0.2%)
・23:00 カナダ中銀が政策金利発表(0.50%に据え置き予想)
・23:00 カプラン米ダラス連銀総裁講演
・02:00 米国30年債入札(120億ドル、リオープン)
・03:00 米・3月財政収支(予想:-1690億ドル、16年3月:-1080億ドル)




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情報提供元: FISCO
記事名:「 欧米為替見通し:ドル・円は弱含みか、米ロ関係の緊張で売り継続