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目下、ビットコイン価格はその取引処理能力(スケーラビリティ)をめぐる技術的な議論が要因となって乱高下を続けている状態だ。またこれを受けて、ライトコインやリップルなどのアルトコイン(ビットコイン以外の仮想通貨の総称)の価格が4月以降急騰している。
ビットコインの技術面における喫緊の課題である取引処理能力をめぐっては昨年からビットコイン開発者や企業などの間で激しい議論が続けられ、複数の解決策が提案されているものの、どの案も全体の合意が得られず実行に移すことが出来ない状態だ。一方でビットコインの取引量は増加しているため取引処理能力はすでに限界点に近く、最悪の場合主張の異なる開発者達によってビットコインが別種類の複数のコインへと分裂(ハードフォーク問題と呼ばれる)するというシナリオも考えられるため、こうした不安感がビットコイン価格にも影響している。
時価総額トップ100の仮想通貨の中で、時価総額ベースでビットコインが占める割合は68.5%(4月6日時点)といまだ圧倒的な存在感ではあるものの、3月22日時点の72.6%と比較して4.1%の減少を見せた。これと並行して、ライトコイン、リップルなどのアルトコインの価格は4月以降急騰している。
特にライトコインは4月に入ってから最大約73%(4月6日時点、ドルベース)の上昇を見せている。時価総額2位のイーサリアム(4月6日時点、前述のビットコインと同じ計算で14.8%)の売買代金(流動性)をベースとしてアルトコインのフェアバリューを算出すると、ライトコインは現在時価総額トップ100の仮想通貨の中でももっとも割安な仮想通貨となっている。
ライトコイン価格急騰の理由は、ライトコインが前述のビットコインの技術的解決策の最有力候補のひとつであるセグウィット(Segwit、Segrigated witness)と呼ばれる技術的施策をビットコインよりも先に採用しようとしていることが主な原因だ。現在採用可否をめぐる投票が実施されているが(参照リンク:http://litecoinblockhalf.com/segwit.php)、早ければ今週中にも採用にこぎつけるのではないかと見られており、この採用可否の結果はライトコイン価格にさらに大きな影響を与えると考えられる。
ライトコインは2011年にビットコインの欠点を解消しようと公開された仮想通貨で、数ある仮想通貨の中でも老舗の存在だ。ライトコインによるセグウィット採用がネットワークにどのように作用するかは、今後のビットコインの技術的議論にも影響を与える可能性が高いため引き続き動向に注目したい。
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