以下は、フィスコソーシャルレポーターの個人投資家夢見る父さん氏(ブログ「夢見る父さんのコツコツ投資日記」を運営)が執筆したコメントです。フィスコでは、情報を積極的に発信する個人の方と連携し、より多様な情報を投資家の皆様に向けて発信することに努めております。

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※2017年1月17日22時に執筆

「投信ブロガーが選ぶ!Fund of the Year2016」の発表が14日、東京・渋谷であり、授賞式に行ってきました。メディアや金融機関が選ぶ他の同種イベントとは違い、個人投資家が自分たちの観点でファンドを選定する試みです。

ブロガー有志が始めたイベントで、運営はすべてボランティアです。今回は記念すべき10回目で、年々規模が大きくなっています。第1回目はネットだけで行われたのですが、その後は実際に表彰式も開かれ、投信会社関係社や投票したブロガー、それにイベントをみてみたいといった方が集まり、楽しいイベントとなりました。毎年、個人の長期投資にふさわしい低コストのインデックス投信か、理念を評価されたアクティブ投信が上位になるとのが特徴です。

表彰式でサプライズだったのが、金融庁の森信親長官から、祝辞が寄せられたことでした。日経新聞によると、個別の投信や運用会社が評価される場で、金融庁長官がコメントを出すのは極めて異例だそうです。懇親会では金融庁の方が金融政策をプレゼンテーションする場面もありました。

森長官の祝辞では、日本で投資が広がらない背景として、「金融機関が、手数料収入を重視するあまり、売りやすい投信や過度に仕組みが複雑な商品の組成・販売に注力し、かつ、そうした商品の短期・回転売買を勧めてきたことなどがある」と指摘。さらに、「プロの投資家ではない個人がそうした商品の売買のタイミングを見極めることは難しい」としました。むしろ、長期分散された投信に積立投資することが成功体験につながるのではとしています。

もちろん、プロ顔負けの成績を出している個人もいますが、そのためには努力、運、時間などが必要です。仕事や家庭が忙しい個人にとっては、むしろ、分散された低コストの投信への積立が、大もうけできないにせよ、着実に成功につながる可能性が高いと、国がお墨付きを与えたといえましょう。

さらに、長官は、「良質な投資商品を普及させる上で、投資家自身が投資信託の質の向上に向けた取組みを進めていくことは、とても有意義だと考えます。皆様には、投資を行う顧客の目線に立って、投資商品を客観的・公平に評価し、広く発信していく運動を更に深化させていただければ幸いです」「今後とも、金融行政に対し、個人投資家の皆様からの忌憚なきご意見を頂戴できますよう」と、ブロガーの行動を高く評価しています。表彰式では受賞した運用会社の幹部も、ブロガーの意見を重視していると口々に述べました。これまでちっぽけな個人投資家の声が金融機関や国を動かすことはまず考えられなかったのですが、ネットのおかげで届いたという感じを受けました

投票上位のファンドをみると、毎月分配型ばかりの投信売れ筋ランキングとまったく異なっています。知識も関心もないのに、いわれるまま投信に商品している人がまだまだ多いという現状を表しています。先進的な投信ブロガーを評価した金融庁が、今後、それ以外の国民を支援するためどんな政策をとるか。もしかするとこの1年で、投資を巡る環境は大きく変化するかもしれません。

なお、上位10位と特別賞のファンドは次の通りです。

1 購入・換金手数料なし ニッセイ外国株式インデックスファンド(ニッセイアセット)2 たわらノーロード先進国株式(アセットマネジメントOne)
3 バンガード・トータル・ワールド・ストックETF(米バンガード)
4 iFree8資産バランス(大和証券投資信託委託)
5 セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド(セゾン投信)
6 ひふみ投信(レオスキャピタルワークス)
7 ひふみプラス(レオスキャピタルワークス)
8 世界経済インデックスファンド(三井住友トラストアセット)
9 購入・換金手数料なし ニッセイTOPIXインデックスファンド(ニッセイアセット)
10 セゾン資産形成の達人ファンド(セゾン投信)
特別賞 ひふみグループ(レオスキャピタルワークス)

投資は自己責任です。インデックス投資に関心がある方は夢見る父さんのブログをご覧ください。



執筆者名:夢見る父さん
ブログ名:夢見る父さんのコツコツ投資日記



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情報提供元: FISCO
記事名:「 【FISCOソーシャルレポーター】個人投資家夢見る父さん氏:金融庁長官からブロガーにメッセージ