以下は、フィスコソーシャルレポーターの個人投資家、虫とり小僧氏(ブログ:いつか子供に伝えたいお金の話、ツイッター:@mushitori)が執筆したコメントです。フィスコでは、情報を積極的に発信する個人の方と連携し、より多様な情報を投資家の皆様に向けて発信することに努めております。

----

※2017年1月10日21時に執筆

株式にしても、債券にしても、為替にしても、自分が売却すると、まるで相場の神様がそのタイミングを見ていたかのように猛然と値上がりを始めたりしますよね。

そこそこマーケットに関わっている人であれば、そういう経験をなさった方も、けっこういるのではないでしょうか。

個別株投資家に限らずとも、私のようなインデックス投資家でさえ、利益確定やリバランス※によって、大きく膨らんだアセットクラスを売却した途端に、それがより力強い上昇を始め、悔しくて眠れぬ夜を過ごすことになった、なーんて話も聞いたことがあります。
そんなときの悔しさは何とも言えないものです。では、一体どうすればいいのか。

まぁ、そんなことに対策もなんてないのでしょうが、暇つぶしがてらにいくつか考えてみます。


■対策1:考えない

現実から目を背けるってヤツです。しかし、これがなかなか難しい。見ないようにしよう!と思えば思うほど、意識はそこに向かってしまうものです。

注射の怖さと痛みを紛らわすために、自分の腕に針が刺さる光景を見ないようにすると、いつ刺されるのか、どこに刺されるのかが猛烈に気になって、むしろ逆に意識がそこに集中しすぎてしまい、刺された瞬間にアウチっ!と、メチャクチャ痛く感じてしまうのと同じです。

また感情のコントロールも難しい。気にしないようにしよう!と思っても、心の奥底から湧き上がってくる感情は簡単にはコントロールできません。

とても好きな人だけれど、恋人になれる見込みはなさそうだから、嫌いになろう!と思っても、それがとても難しいのと同じです。

こういうことは、感情の扉をバタン!と閉じることができる人でないと、無理な(普通の人には難しい)方法ですよね。


■対策2:買い戻す

これも微妙です。買い直した後も上がり続けてくれればいいのですが、往々にして買い直した後は値下がりするものです。

いや、買い直した後に値上がりしても、悔しさと向き合うという点では、一旦売ってから高値で買い直したという事実が、より一層悔しさを大きくする可能性すらありそうです。
全然対策になっていませんね。すんません。


■対策3:極端なケースと比較する

宝くじの大当たりを逃した心境をイメージして、自分の(売却後の値上がりの)逸失利益の小ささを感じてみるというのはどうでしょう。

大当たりの出る確率が雷に打たれて死ぬことよりもはるかに低いため、宝くじ売り場に支払う代金を「バカ税」などと呼ぶ人もいますが、庶民がわずかな料金で夢を見ることのできるステキな企画でもある宝くじ…。

例えば、とある父親「タケシ」が、家族3人(嫁と一人娘と自分)の誕生日の「月と日にち」を選んで毎回200円ずつ「ロト6(6つの数字を選んでエントリーする宝くじ)」を買っていたとします。

月曜日と木曜日の毎週2回も買い続けていながら、家族や友人には、

「こんなものはねぇ、数学的に考えれば、当るハズがないものなんだよ。だけどね、毎回200円で家族と夢を見れるなら、高いとも言えんだろう。ワッハッハ!」

などと言っていたタケシですが、心の中では、

(当たるかもしれねぇ。俺は子供の頃から運がイイんだ。昔、チョコボールで2回も金のエンゼルを当てて、おもちゃの缶詰をゲットしたこともあるんやで!俺をナメるとヤケドするばい!)

などと考えていました。

そうやってタケシは、10年間にも渡って毎回同じ数値をマークして、「ロト6」を買い続けていました。つぎ込んだお金は20万円を超えていたでしょう。

しかし、当然のことながら、たまに5等や4等が当たるだけで、大当たりが出たことはありませんでした。

そんなある日、タケシが仕事を終えて帰宅すると、いつもは「お帰りなさい」の一言も言わない嫁と、「ウザい」「クサい」「あっち行って」しか言葉を発しなくなった中学生の娘に満面の笑顔で「パパ、お帰りなさ~い!」と玄関で出迎えられ、パーティークラッカーをパパァ~ンと、鳴らされました。

「ついにキタわね!」(嫁)
「パパ、やっぱり持ってるね。大好き!」(娘)

「・・・ん?何がだ??」(タケシ)

「やだぁ、まだ結果見てないの??ついにキタわね!一等4億円!!キャリーオーバーもMAXよ!!ホント今でも信じられないわよ!早速、ヨガ教室の“世界最高級リゾート巡りのツアー”に申し込んじゃった♪」(嫁)

タケシはその日、仕事の帰りに犬のフンを踏んでしまったことに動揺して、この10年間で初めて「ロト6」の購入を忘れてしまっていました。

・・タケシに比べれば、自分の(売却後の値上がりの)逸失利益なんて屁のようなものでしょう。


■対策4:全部は売らない

思い付きで書き始めたフィクション「タケシの宝くじ物語」に注力しすぎてしまい、もはや何をテーマにして文章を書いていたのかさえ忘れてしまいました。

あぁ、そうでした、そうでした。売った後に値上がりした悔しさとの向き合い方でしたね。

最後のこれは事後の対策というよりも予防策ですが、全部は売らない、というのはどうでしょう。

一部は売却したけれども、すべて売却したワケではないので、保有分はしっかりと上昇の恩恵を受けることができ、少しは悔しさを回避できるのではないでしょうか。

リバランス※によって、利益確定やリスクコントロールを図りつつも、世界中のあらゆるところに糸を垂らしておくことをやめるわけではない……これは、私のようなインデックス投資家の基本戦略です。

・・う~ん。「タケシの宝くじ物語」のあとでは、もう何を言われても頭に入ってきませんよね。

■結論:タケシと比べて己の逸失利益の小ささを笑おう!

※リバランスとは、一定の時期(もしくは乖離率)ごとに、最初に決めたアセットアロケーション(資産配分)比率より上がっているもの(アセット)は売却し、下がっているものは買い増して元に戻すことです。主目的はリスクコントロールですが、価格の下がった資産を買って比率を戻すことで、長期的には高パフォーマンスが期待できるといわれています(定期的に高値売りの安値買いができるため)。

もちろん、リバランスによる長期的な高パフォーマンスを期待するためには、株価や債券価格や為替の上下循環(下がってもまた上がる・上がってもまた下がる)という前提が必要ですが・・・。

(※「インデックス投資」や「積み立て投資」などに関する詳しい話は、自分のブログにクドクドと書いてあります。)

----

執筆者名:虫とり小僧
ブログ名:いつか子供に伝えたいお金の話
ツイッター名:虫とり小僧(@mushitori)



<MT>

情報提供元: FISCO
記事名:「 【FISCOソーシャルレポーター】個人投資家虫とり小僧:株ってさ、自分が売ると、そのあと値上がりするよね