今日の欧米外為市場では、ドル・円は戻りの鈍い展開を予想したい。短期的な調整は一服しつつあり、ドルの押し目買いが入りやすい見通しだが、11日に予定されるトランプ米次期大統領の記者会見を前に、積極的なドル買いは手控えられそうだ。

6日に発表された米国の12月雇用統計では賃金の大幅な伸びが好感され、ドル・円は117円半ばまで上昇したが、9日の海外市場では調整の動きが強まりドル売り・円買いに振れた。東京連休明け10日のアジア市場でもその流れを受け継ぎ、ドルは115円台前半まで下落。ある外為ディーラーは「堅調な米雇用統計を受けたドル買いの調整は一巡しつつある」との見方を示す。足元は買い遅れた投資家による押し目買いが強まりやすい水準のため、今晩の欧米市場では116円台を回復する可能性はありそうだ。

ただ、米大統領選で当選後初となるトランプ氏の記者会見が11日に予定されるなか、先の外為ディーラーは「次期政権からドル高容認的な発言が聞かれないため、ドルはやや買いにくい」と指摘する。一方、トランプ政権で財務長官に就任予定のムニューチン氏は、昨年11月末のインタビューで、海外の投資家が米国の資産に価値を認めているとし、「経済成長と雇用創出に集中することが優先課題」と述べており、市場関係者はその発言について、暗にドル高を容認したと受け止めている。強弱感対立で明日のトランプ氏の会見を見極めたいとするムードは強いようだ。(吉池 威)


【今日の欧米市場の予定】
・24:00 米・11月JOLT求人件数(予想:550.0万件、10月:553.4万件)
・24:00 米・11月卸売在庫改定値(前月比予想:+0.9%、速報値:+0.9%)
・03:00 米財務省3年債入札(240億ドル)
・オバマ米大統領がお別れ演説予定




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情報提供元: FISCO
記事名:「 欧米為替見通し:ドル・円は戻りが鈍い、米次期政権の為替政策に不透明感