*07:43JST NYの視点:FRBは9月利下げを準備も慎重に行動する可能性も、8月雇用統計が鍵 7月雇用統計で、失業率の3カ月の平均が過去12カ月の最低値から少なくと0.5%上昇したときアメリカ経済はすでに景気後退に陥っているとのサーム・ルール(Sahm rule)が確認されたため、景気後退懸念が一気に強まった。

FRBのパウエル議長は労働市場の減速への懸念を表明。FRBは今週カンザスシティー連銀主催の年次シンポジウムを開催するが、週後半に予定されている講演で、パウエル議長が9月連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げを示唆するかどうかが注目される。

先週末には、FRBメンバーがインタビューで、ハト派姿勢に転じたことが明らかになった。今までインフレを巡る進展に慎重だったミネアポリス連銀のカシュカリ総裁はウォ―ル・ストリート・ジャーナル(WSJ)紙のインタビューで、労働市場の減速で、9月利下げも選択肢となるとの考えを示した。ただ、レイオフがまだ低水準で失業保険申請件数も顕著な悪化が見られないことから、段階的な利下げを支持する姿勢。2024年のFOMC投票権を有する米サンフランシスコ連銀のデイリー総裁は英フィナンシャルタイムズ(FT)紙とのインタビューで、「インフレは制御されていると、より一層確信した」とし、緩やかな利下を支持する姿勢を示した。米シカゴ連銀グールズビー総裁もTVインタビューで、「全てが選択肢」と、述べた。

一方で、ゴールドマンサックスは景気後退の兆しは見えないと、米国経済が今後12カ月で景気後退入りする確率を20%に引下げた。チーフエコノミストは7月小売売上高や失業保険申請件数が景気後退を示していないと、顧客向けレポートの中で、指摘した。同社は7月雇用統計発表直後、弱い結果を受けて、景気後退入り確率を一時25%に引き上げた。8月雇用統計は良好と見られ、もし、予想通りとなった場合、確率を15%水準まで一段と引き下げる可能性も示唆した。強い米国経済で、FRBは利下げを巡り慎重な行動を示す可能性が強いと指摘。インフレ鈍化でFRBは9月17日、18日に開催される会合で0.25%の利下げに踏み切る見通しとなっている。

<CS>
情報提供元: FISCO
記事名:「 NYの視点:FRBは9月利下げを準備も慎重に行動する可能性も、8月雇用統計が鍵