*07:45JST NYの視点:米、根強いインフレの兆候、利下げの環境整わず 連邦準備制度理事会(FRB)が開催した3月連邦公開市場委員会(FOMC)で公表された19人の政策当局者によるドットプロットでは、1月、2月の強いインフレにもかかわらず12月FOMC時点と同様に平均で年3回の利下げ予想が維持された。しかし、FRBの年内の利下げ見通しが後退しつつある可能性がでてきた。パウエル議長が昨年のインフレの大幅鈍化を過剰に見込まないよう注意を促したほか、データがインフレの目標2%達成への軌道を確認できず一層の時間を要する可能性を警告した。

FOMCで議長や副議長と同様に影響力のあるNY連銀のウィリアムズ総裁はどこかで利下げするとの見通しを維持したものの、利下げの緊急性を感じておらず、また、利上げは自分の基本シナリオではないが、データが正当化したら、可能性があると排除しなかった。また、本年のFOMCの投票権を有しているボスティック米アトランタ連銀総裁も年末までに利下げできる状況にはならないだろう、と慎重な姿勢を見せている。

商品価格の平均をあらわした指標CRB指数は、昨年12月の260付近から298まで再び上昇基調にあり、22年8月来の高水準で、根強いインフレが示唆される。

最新の先週分新規失業保険申請件数(13日)は21.2万件と、前回から増加予想に反し横ばいとなり、労働市場の底堅さが再表明された。

米4月フィラデルフィア連銀製造業景況指数は15.5と、3月3.2から低下予想に反して上昇し、22年4月来で最高となった。重要項目の新規受注は12.2と、3月の5.4から上昇。仕入れ価格は23.0と、前月の3.7から大幅上昇し、12月来の高水準に達した。販売価格は5.5と、4.6から上昇しておりインフレ上昇を示唆するなど、利下げの環境にはまだほど遠い状況となっている。

■米4月フィラデルフィア連銀製造業景況指数:15.5(3.2)
仕入れ価格:23.0(3.7)
販売価格:5.5(4.6)
新規受注:12.2(5.4)
雇用者数:-10.7(-9.6)
週平均就業時間:-18.7(-0.2)

6か月先
景況指数:34.3(38.6)
仕入れ価格:54.5 (38.0)
販売価格:34.4(37.1)
新規受注:42.8(49.9)
雇用者数:12.8(5.8)
週平均就業時間:17.3(-0.6)

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情報提供元: FISCO
記事名:「 NYの視点:米、根強いインフレの兆候、利下げの環境整わず