日本のFOIP戦略:ASEANへの競争的関与 「インフラ建設から質の高いイニシアチブへ - 批判的検証」の項では、中国の「一帯一路構想(BRI)2.0」において進化を続けるアプローチについて掘り下げ、世界規模のインフラ開発戦略から、より繊細な地域重視へと大きく方向転換する様子を明らかにした。中国は一帯一路構想を、質の高い持続可能なプロジェクトを優先するよう調整を加えているが、ここでの主な受益者は東南アジア諸国であるようだ。この再調整は、本項「日本のFOIP戦略:ASEANへの競争的関与」で考察する、より広範な動きと方向性を同じくするものだ。同地域において、日本は存在感の強化を積極的に推し進めている。競争の風向きを変えるのは、中国の戦略の変化だけとは限らない。日本の 「自由で開かれたインド太平洋」(Free and Open Indo-Pacific、FOIP)戦略はまさに、この変化のなかで戦おうとするものであり、経済的利益と地域にとっての価値観との微妙なバランスをいかに取るかが戦いの肝となる。