・中南米や太平洋地域への一帯一路拡大 中南米・カリブ諸国:駆け引き vs 長期的メリット。2013年には合計10カ国が中華民国(台湾)と国交を断絶した。2016年時点で台湾と断交した国は8カ国あり、そのうち5カ国が中南米である(パナマ、ドミニカ共和国、エルサルバドル、ニカラグア、ホンデュラス)。各国への中国のインフラ建設投資は当初著しく増えたが、長期的データを検証したところ、中国と国交を樹立しても短期的な成果しか得られず、長期的な経済的効果は生まれていないことが分かった。中国と新たに国交を結んだ国の景気は、台湾と国交を維持している国と比べて著しく上向いているわけではない。
「戦局」となったインド太平洋地域:中国の海外軍事拠点。カンボジアのリアム、スリランカのハンバントタ、パキスタンのグワダル、バヌアツのルーガンビルでは、中国が積極的に軍事拠点を建設している。なかでも改修終了間近のリアム海軍基地は中国にとって、ジブチに次ぐ第2の海外補給基地(overseas support base)、インド太平洋地域では初の海外軍事基地とみられている。これは中国の地域防衛戦略の大きな前進であるとXianはみている。
中国は中南米でも一帯一路構想を推進し、多額の財政投資を行ってきた。投資額はベネズエラ・ホセ港の原油ターミナルに4億4,100万米ドル、キューバのサンティアゴ港に1億3,300万米ドルである。こうしたインフラ投資により、中国は中南米に人民解放軍の拠点を置き、これを展開させる戦略的機会を得られる。中国は現在、アルゼンチンのティエラ・デル・フエゴとチリのプンタ・アレーナスでの多目的港建設に協力する計画も提案している。この計画では、Shaanxi Coal Chemical Industryグループが現地のエネルギーと肥料の開発を支援し、その後港湾ターミナルの建設と管理を担う。それによりマゼラン海峡の航路と航路沿いの地域を管理し、最終的には南極進出の拠点とする。
「小さくても美しい(Small but Beautiful)」一帯一路プロジェクト: 裏の意味と政策対応(2)【中国問題グローバル研究所】」に続く。