カナダ中銀は金融政策決定会合で政策金利(翌日物貸出金利)を0.5%ポイント引き上げ3.75%に決定した。市場は0.75%と大幅利上げを想定していたためサプライズの小幅利上げとなった。

カナダ中銀は2022年国内総生産(GDP)見通しを+3.3%(前回+3.5%)、2023年0.9%(+1.8%)へそれぞれ引き下げ。さらに、第4四半期、2023年上半期消費支出緩やかに伸び鈍化予想を示し、経済が年末から23年の上半期にかけ0−0.5%成長と、停滞を予想。成長が数四半期ゼロ割り込むテクニカルリセッションの可能性にも触れた。また、インフレ見通しの上方リスクとしては、サプライチェーン混乱、地政学的リスク、インフレ期待の定着を挙げた。一方で、下方リスクは深刻な世界成長の減速、商品価格の下落。マクレム総裁はまだ達していないと追加利上げの必要性を指摘しつつも、金融引き締め終了に近づいた、と言及。

カナダは先進諸国の中で最も早い段階で、利上げを開始した。カナダのハト派利上げを受けて、連邦準備制度理事会(FRB)の利上げペース減速の思惑も強まった。FRBは景気減速よりも高インフレ対処で大幅利上げを継続する断固とした計画を示したため短期金融市場では現在の利上げサイクルでの最高金利水準で5%超えを一時織り込んだ。その後、それぞれの国の問題が原因とは言え、英国や日本は、国債市場や為替市場介入を実施するなど、FRBの利上げによる他国への影響も出始めた。FRBの市場への意思伝達手段のひとつともされているウォール・ストリート・ジャーナル紙も先週末、FRB高官の中で、利上げペースのリスクを懸念する意見と、インフレが想定通り抑制されないことを懸念する意見と、分かれていると報じ、11月FOMCでは0.75%の利上げ後の利上げペースを協議すると報じた。続いて、イエレン米財務長官も米国債相場の機能に慎重な見方を示したほか、20年債の流動性が悪く、買戻しの可能性にも言及。さらに、中間選挙を控え、景気悪化を懸念する民主党が連邦準備制度理事会(FRB)に最大雇用に注意を払うよう、要請したことも米国債相場の一段の下落に警戒感を与え始めている。この引き締めサイクルでの最高金利も5%を割り込んでおり、ドル買いも一段落しつつある。

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情報提供元: FISCO
記事名:「 NYの視点:FRBの利上げ減速の思惑強まる、加中銀の金融引き締め終了言及