米9月消費者物価指数(CPI)は前月比+0.4%と、伸びは6月来で最大となった。前年比では+8.2%と伸びは3月来で最小となったが、予想は上回った。食品価格の上昇がヘッドラインCPIを押し上げ。食品指数は前月比+0.8%と、8月と同水準。前年比では+11.2%。一方でエネルギー価格は2.1%安。ガソリン価格は-4.9%。3分の1を占めるシェルターコストは前月比+0.7%、前年比+6.6%。運輸サービスは前月比+1.9%、前年比+14.6%と大幅の伸びが拡大。医療サービスコストは+1%。航空運賃は再び上昇に転じ前月比+0.8%、前年比では+42.9%。原油価格は想定通り下落したが、天然ガスなど他の価格の上昇が予想外に燃料価格を押し上げた。さらに、警戒された通り、シェルターコストは上昇。

米連邦準備制度理事会(FRB)がインフレ指標として注視している燃料や食品を除いたコアCPIは前月比+0.6%と、予想外に8月と同水準を維持。前年比で+6.6%と、伸びは8月+6.3%から拡大し、40年ぶり最大を記録した。

コアCPIはシェルター、住宅コストが50%を占めるが、住宅価格や賃貸料の下落がCPIに反映するのは半年先と見られている。

FRBが歴史的にもまれな大幅利上げを実施しているにもかかわらず、インフレが弱まる兆候が見られず、さらなる力強い対応が想定される。11月連邦公開市場委員会(FOMC)では75ベーシスポイント(BP)の利上げが完全に織り込まれただけでなく、100BPの利上げ観測も再燃。市場はFRBが12月FOMCで5会合連続で75BPの利上げ、1月、2月にそれぞれ50BP利上げし、23年3月までに政策金利であるFF金利誘導目標を4.8%近くまで引き上げることを織り込み始めた。

FRBの利上げ見通し
11月:0.75%
12月:0.75%
1月:0.5%
2月:0.5%

FRBは9月FOMC議事要旨の中で、過剰な利上げによるリスクは、少ない利上げによるリスクを下回るとしており、FRBの利上げが景気後退リスクを押し上げるとの懸念が強まりつつある中、力強い利上げを続け、4%後半の高い水準でインフレが弱まることが確認できるまで9カ月から12カ月間維持する姿勢を示している。市場ではCPIピークに達したとの見方も一部強まる中、FRBの利上げを織り込むドル買いが継続すると見る。


<FA>
情報提供元: FISCO
記事名:「 NYの視点:米9月CPI、インフレ高進は長期化の兆し、FRBは当面金融引き締め維持する見通し