フォーリンアフェアーズ紙の2022年1月/2月号に、アメリカ政治学者のジョセフ・ナイ氏が、「サイバー・アナーキーの終わりか(The End of Cyber-Anarchy?)」という所論を公表している。同氏は、2015年のGCEの報告書が出された後に、ロシアがウクライナの電力網にサイバー攻撃を行い約22万5,000人が数時間暗闇に取り残された事件や、2016年のアメリカ大統領選挙への干渉を例に、サイバー空間における規範作りの困難性を訴えている。そして、サイバー空間の特性を踏まえた上で、サイバー攻撃の抑止は核抑止と同様に考えることはできず、むしろ犯罪抑止に近いとの所論を展開している。