連邦準備制度理事会(FRB)は11月連邦公開市場委員会(FOMC)で経済が一段とFRB目標に近づいたため市場の予想通り、金利を据え置き、同時に11月から量的緩和(QE)縮小開始する計画を発表した。ただ、利上げには労働市場の回復が必要で今はその時期ではないとした。利上げのタイミングを探るためにも今後の労働市場動向に注目。

米国の労働省はワシントンで5日に最新10月雇用統計を発表する。エコノミストの平均予想によると、失業率は9月4.8%から4.7%へ低下する見込み。非農業部門雇用者数は45万人増と、8月、9月に予想を大幅に下回ったのち伸びが拡大する公算。

先行指標の中で雇用統計と相関関係が最も強いとされる民間の雇用者数を示すADP雇用統計の10月分は前月比+57.1万人と、伸びは9月から予想以上に拡大。6月来で最大となった。また製造業の雇用も引き続き改善基調。ISM非製造業景況指数の雇用は9月から低下したものの拡大と縮小の境目である50は4カ月連続で上回った。週次失業保険申請件数も減少傾向を継続し、パンデミック以前の低水準となるなど、先行指標は順調な雇用の増加を示唆している。

一方で、パンデミックの影響がくすぶり、さらに団塊世代の退職の動きが加速し、労働参加者の減少傾向が続いている。求人件数は増加しているものの失業者総数も依然500万人あまりと、労働市場のスラックは存続。利上げの条件であるFRBの最大雇用目標の達成には時間がかかる可能性がある。

■10月雇用統計の先行指標
・ADP雇用統計:+57.1万人(予想:+40.0万人、8月::+52.3万人←+56.8万人)

・ISM製造業景況指数雇用:52.0(9月50.2)

・ISM非製造業景況指数雇用:51.6(53.0)

・NY連銀製造業景況指数:
雇用(現状):+17.1(9月+20.5、6カ月平均+16.2)
週平均就業時間:+15.3(+24.3、6カ月平均+16.1)

6か月先
雇用:+37.1(40.3、6カ月平均39.8)
週平均就業時間:+10.2(8.7、6カ月平均+8.6)

・フィラデルフィア連銀製造業景況指数
雇用(現状):30.7(26.3、6カ月平均28.1)
週平均就業時間:27.8(29.3、25.9)

6か月先
雇用:37.5(15.4、6か月平均22.5)
週平均就業時間:27.2(15.4、6か月平均22.5)

・消費者信頼感指数(%)
雇用
十分:55.6(56.5、26.7)
不十分:33.8(30.5、53.7)
困難:10.6(13.0、19.6)

6カ月後
増加:25.4(21.3、32.0)
減少:18.3(19.9、19.8)
不変:56.3(58.8、48.2)
所得
増加:18.7(16.9、17.5)
減少:11.3(11.4、14.2)
不変:70.0(71.7、68.3)


・失業保険申請件数

件数 前週比 4週平均 継続受給者数

10/30/21|   269,000|   -14,000|  284,750|   n/a
10/23/21|   283,000|    -8,000|  299,750| 2,105,000
10/16/21|   291,000|    -5,000|  320,000| 2,239,000
10/09/21|   296,000|   -33,000|  335,000| 2,480,000
10/02/21|   329,000|   -35,000|  344,750| 2,603,000
09/25/21|   364,000|    13,000|  340,500| 2,727,000
09/18/21|   351,000|    16,000|  335,750| 2,811,000
09/11/21|   335,000|    23,000|  336,500| 2,820,000
09/04/21|   312,000|   -33,000|  340,000| 2,715,000

■市場エコノミスト予想
失業率:4.7%(9月4.8%)
非農業部門雇用者数:前月比+45万人(+19.4万人)
民間部門雇用者数:前月比+42万人(+31,7万人)
平均時給:予想:前月比+0.4%、前年比+4.9%(+0.6%、+4.6%)




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情報提供元: FISCO
記事名:「 NYの視点:米10月雇用統計:順調な回復も労働市場のスラックは存続か、利上げはまだ先