米供給管理協会(ISM)が発表した10月ISM製造業景況指数は60.8と、9月61.1から低下したものの予想は上回った。活動と縮小の境目となる50は16カ月連続で上回り活動の拡大を示した。しかし、主要項目の新規受注は昨年6月来の60割れと16カ月ぶり低水準に落ち込んだ。一方で、支払い価格は85.7と、9月81.2から予想以上に上昇。7月来の高水準となり、スタグフレーションリスクが示された。入荷遅延が75.6に急伸したことが全体指数を押し上げたが、サプライチェーンの混乱というマイナス材料が要因となっている。製造業の雇用は52.0と、9月50.2に続き2カ月連続で活動の拡大を示す50を上回り7月来の高水準となったことは安心感に繋がる。

サプライチェーンの混乱やインフレ懸念から、生産予想は12カ月ぶりの低水準に落ち込み、見通しも暗い。

■10月ISM製造業
景況指数:60.8(9月61.1)
仕入れ価格:85.7(71.2)
生産:59.3(59.4)
新規受注:59.8(66.7)
受注残:63.6(64.8)
入荷遅延:75.6(73.4)
在庫:57.0(55.6)
顧客在庫:31.7(31.7)
雇用:52.0(50.2)
輸出:54.6(53.4)
輸入:49.1(54.9)

マークイットが発表した10月製造業PMI改定値は58.4と、速報値59.2から予想外に下方修正され年初来最低となった。企業は引き続き一部のコストを商品価格に反映させている。

マークイットのエコノミストはサプライチェーンの混乱が引き続き製造業に影響を与えていると指摘。部品不足で生産の伸びは7月来で最低となった。ほぼ半分の企業が供給不足で生産減を報告している。10分の1は人材不足。さらに、4分の1が需要の鈍化に言及した。需要鈍化の要因として、価格の高騰で注文が差し控えられる、または、他の部品不足で生産が進まないことなどが挙げられている。生産の伸びはパンデミック依然の長期平均を下回った。一方で、需要はまだ、潜在的な水準を上回っている。
従って、製品価格の上昇に繋がりインフレ圧力が続き、速やかに弱まるとは考えにくいと、同氏は警告している。





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情報提供元: FISCO
記事名:「 NYの視点:米10月ISM製造業:受注16カ月来の低水準、価格は上昇、スタグフレーションリスクを示唆