須賀:現在デジタル界隈で盛り上がっているのは、今年(2021年)6月にリナ・カーンさんがアメリカ政治史上最年少の32歳で、連邦取引委員会(FTC: Federal Trade Commission)の委員長に抜擢されたことです。FTCはアメリカにおける公正な取引を監督・監視する連邦政府の機関です。彼女は、白井さんが指摘されたように、いままでの独禁法の考え方を形式的にプラットフォーマーに当てはめても最適解は出ないというようなことを主張しています。デジタル時代の独禁法的な、アンチ・トラスト的な価値を実現するには、全く違うルールを作らなければならないと主張する初めての学者です。彼女にどれだけの仕事をさせる胆力がアメリカにあるのかということは、これからすごく興味深い点かなと思っています。