海上自衛隊の固定翼哨戒機は、1984年2月27日、岩国基地所属のPS-1対潜哨戒飛行艇が愛媛県の伊予灘沖に墜落した事故以降、航空機が墜落するという事故を起こしていない。1966年7月21日に初飛行後、1994年5月26日の退役までの約26年間、対潜哨戒機の主力として活躍したP-2Jの83機は、墜落事故を1件も起こさなかったという、世界的にみて稀有な記録を達成している。 また、1958年8月に初飛行し、約650機製造した米国ロッキードマーチン社のP-3シリーズは、世界18カ国で使用される哨戒機である。日本では、1981年にFMS(Foreign Military Sales:対外有償軍事援助)で取得した3機を筆頭に、川崎重工で製造した98機は、40年間、墜落事故を起こしていない。約200機を運用していた米海軍のP-3Cは数件の墜落事故を起こしているが、日本の場合、世界的にみて極めて高い整備能力を保持しているので、墜落事故が起きていないと言えるだろう。(なお、1992年3月31日、P-3C(5032号機)は、海上自衛隊硫黄島基地飛行場における着陸時に、車輪を出し忘れたことにより、滑走路上で地上火災を起こし機体が焼失するという事故を起こしたが、犠牲者は発生しなかった。)