陸上自衛隊観閲式における部隊の先頭を、黒い戦闘服、黒覆面の謎の部隊が行進する。外国の武官団が「あれは何だ?」自衛官「あれは陸自の特殊部隊で、スペシャルニンジャフォース、S N Fというのだよ」「それはすごいね(ニンジャか、これはすぐに詳細を調べなければ)」と言うわけで列国はその正体を探ろうとするが、何もわからない。日本の忍者部隊の秘匿度の高さに感心する。そのうち国外で日本に関係するなんらかの事件が起こると、その後、あれはS N Fが裏で活動してあの程度の被害に収めたのだという噂だけが流れる。
こうして、S N Fは、その評判が高まるとともに、ますますその神秘性が高まっていった。列国の情報機関は謎を解明するためにさらに多大なリソースをつぎ込む。しかし、一向に正体は掴めない。
現在、情報機関として極めて有名なのが米国の国家安全保障局(N S A:National Security Agency)である。ここでは主に無線・有線の通信情報を収集・分析している。その要員数は2万人とも言われる巨大組織だ。それに対応する日本の機関となると、防衛省情報本部電波部と言うことになる。規模は不明だがとりあえず数百人としておいて良いのではと思う。仮に200名とすれば米国の100分の1ということになる。このN S Aと電波部は昔、太平洋戦争時代の電波傍受の機関をそれぞれの先祖としている。
戦後になり、米軍の傍受機関は一時的に仕事を失ったが、すぐにソ連という新しい敵を見つけ、今ではN S Aとなり、その規模も拡大された。一方、日本は米軍の圧倒的な情報収集能力に依存し、自ら情報を収集分析する能力を構築する努力を怠ったように見える。言い換えると、米国は情報を重視しその勢力を拡大したが、日本は逆であるとも言えよう。
N S Aはその情報収集の矛先を先端的な通信技術であるインターネットに向け、現在、世界一の能力を有するに至っている。一方、日本は、憲法、通信事業者法などの縛りにより、その能力は皆無であると言ってよい。さらに本当に大事なのは、得られた情報を集約し、分析し、結果を適切な利用者に配布することだが、日本はその点も極めて厳しい状況にあると思われる。