米国の労働省はワシントンで3日に最新8月雇用統計を発表する。エコノミストの平均予想によると、失業率は5.2%と7月の5.4%からさらなる低下する見込み。非農業部門雇用者数は72.5万人増と、7月の94.3万人増から伸びが縮小しペースは鈍化も順調な回復が続く見通し。

先行指標の中で労働省が発表する雇用統計と最も相関関係が強いとされる民間の雇用者数を示すADP雇用統計の8月分は前月比+37.4万人と、7月+32.6万人から伸びが拡大も、予想のほぼ半分にとどまった。7月も同様に60万人超の増加が予想されていた中、32.6万人にとどまったが、雇用統計では、6月に続き90万人超の雇用の増加となった。パンデミックの影響で連邦・地方職員、教員などの季節的な調整が複雑になっていることが影響している可能性もある。このため、雇用は鈍化傾向にあるとはいえ8月の雇用統計でも、6月、7月同様100万人近くの雇用の増加というポジティブサプライズも不可能ではない。週次の失業保険申請件数も減少傾向にあり、40万を下回る水準を維持している。

一方で、全米の製造業動向を示す、ISM製造業の雇用は49と、再び活動の拡大と縮小の境目となる50を割り込んだ。昨年11月来で最低。各地区製造業の雇用も軒並み鈍化している。製造業は半導体不足が長引き、生産ができずに工場の操業停止をやむなくされる企業も少なくない。

ゴールドマンサックスは新型コロナウイルスデルタ株流行による労働市場への影響が予想以上で非農業部門雇用者数の予想を従来の60万増から50万増に引き下げた。

平均予想を下回り50万人増程度となった場合でも、連邦準備制度理事会(FRB)は年内に量的緩和(QE)の縮小を開始する可能性は残る。資産購入の縮小を開始したとしても、金融政策は依然緩和的。金融引き締めの開始は当面先になる。

■8月雇用統計の先行指標
・米・8月ADP雇用統計:+37.4万人(予想:+62.5万人、7月:+32.6万人←+33.0万人)
・ISM製造業景況指数雇用:49(7月52.9)
・NY連銀製造業景況指数:
雇用(現状):+12.8(7月+20.6、6カ月平均+13.8)
週平均就業時間:+8.9(+14.0、6カ月平均+13.4)

6か月先
雇用:+38.5(43.9、6カ月平均38.8)
週平均就業時間:+2.7(3.0、6カ月平均+10.8)

・フィラデルフィア連銀製造業景況指数
雇用(現状):32.6(29.2、6カ月平均28.3)
週平均就業時間:24.5(18.4、27.5)

6か月先
雇用:42.7(56.6、6か月平均51.3)
週平均就業時間:20.8(27.0、6か月平均21.0)

・消費者信頼感指数(%)

●雇用
雇用現況
十分:54.6(55.2、21.4)
不十分:33.6(33.7、55.0)
困難:11.8(11.1、23.6)

6カ月後
雇用
増加:23.0(25.5、29.9)
減少:18.6(17.8、21.2)
不変:58.4(56.7、48.9)

・失業保険申請件数


件数 前週比 4週平均 継続受給者数

08/21/21|   353,000|     4,000|  366,500|   n/a  |n/a
08/14/21|   349,000|   -28,000|  378,000| 2,862,000| 2.1%
08/07/21|   377,000|   -10,000|  396,750| 2,865,000| 2.1%
07/31/21|   387,000|   -12,000|  394,500| 2,899,000| 2.1%
07/24/21|   399,000|   -25,000|  394,250| 2,980,000| 2.2%
07/17/21|   424,000|    56,000|  386,500| 3,296,000| 2.4%
07/10/21|   368,000|   -18,000|  384,500| 3,262,000| 2.4%
07/03/21|   386,000|    18,000|  397,000| 3,265,000| 2.4%

■市場エコノミスト予想
失業率:5.2%(7月5.4%)
非農業部門雇用者数:前月比+72.5万人(+94.3万人)
民間部門雇用者数:前月比+70.9万人(+66,2万人)
平均時給:予想:前月比+0.3%、前年比+3.9%(+0.3%、+3.6%)



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情報提供元: FISCO
記事名:「 NYの視点:パンデミックの影響長引き不透明、予想通りならFRB年内の緩和縮小へ