◆新聞の文章に我が目を疑った。「バブルを形成し、それをしっかり維持していくことが重要だ」。マスコミからさんざん目の敵にされてきた「バブル」もついに認められる日が来たか!と喜んでいたら、オリンピックで採用される「バブル方式」の話。とんだ早合点だ。

◆バブル方式とは競技の開催地を大きな泡(バブル)で包むように囲い、選手やコーチ・関係者を隔離し、外部との接触を遮断する方法のこと。宿泊地と練習場・競技会場以外には原則移動できないように行動を厳しく制限する。

◆バブル方式で使われる意味の「バブル」はスポーツの大会に限らない。例えば「トラベルバブル」。社会的・経済的に結びつきの強い隣国が、ひとつの大きな泡(バブル)の中に入り、その枠組みの中では入国後の隔離を免除するなど往来を活性化させる仕組み。豪州とニュージーランド、香港とシンガポールなどが実施している。

◆やはりマーケットの「バブル」とはまったく違う。正反対だと言ってもいい。バブル方式の「バブル」は基本的に行動を制限するための「バブル」だから、それ自体がコントロールされている「泡」である。それに対してマーケットのバブルは…言わずもがなだろう、コントロールが効かなくなった状態を指す。だから相場のバブルは破裂するのが必定。他方、バブル方式の「バブル」は決して破裂することのないよう願いたい。


マネックス証券 チーフ・ストラテジスト 広木 隆
(出所:7/26配信のマネックス証券「メールマガジン新潮流」より抜粋)


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情報提供元: FISCO
記事名:「 コラム【新潮流2.0】:バブル(マネックス証券チーフ・ストラテジスト広木隆)