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そのなかから今回は、同証券のチーフ・外国株コンサルタント、『ハッチ』こと岡元兵八郎氏のレポート「ウォール街を知るハッチの独り言」の内容をご紹介いたします。
コロナ禍でヘッジファンドへの資金流入が続いています。 世界の受託資産は 昨年1年間で約20%増加し、過去最高の410兆円(3.8兆ドル)に達しました。特に中国の伸びが著しく、預かり資産の増加率は50%を超えました。それもそのはず、昨年の平均リターンは、世界で12%、中国に至っては30%にも上ったとされます。
ヘッジファンドの特徴はレバレッジです。資金流入が増えるのは、カネ余りで、かつ金利が低く借り入れしやすい時ですから、今はまさにその典型と言えます。
ただ、最近は若干雲行きが怪しくなってきました。金融規制の強化が再開したためです。米国では、アルケゴス問題を受け、先週、金融安定監視委員会の元でヘッジファンドに関するワーキンググループが再開されました。新型コロナで一時停止されていた銀行の補完的レバレッジ比率(SLR)も4月から再び強化され、金利上昇に拍車をかけつつあります。中国では、先週、資本・レバレッジ・流動性要件の厳格化案が発表されたため、今後、大手金融機関がリスクを取りにくくなる可能性があります。
株式市場には勢いがあるので、総崩れする印象はありませんが、レバレッジ規制が厳しくなり、金利が上昇すれば、ヘッジファンドの妙味は薄れます。資金が入らなくなれば、運営が厳しくなるファンドが出て来るかもしれません。
因みに、日本の個人向けヘッジファンド業界はまだまだ小規模で情報も非常に限られています。私募型で合同会社の社員権を販売するファンドは原則として金融商品取引法の枠外ですから、資産の中身をよく確認する必要があるでしょう。
むしろここからは、透明性が高くレバレッジに頼らない投資、例えば、普通に好業績企業の個別株や、個人に対して開示が良い個人特化型ファンド、仮にリスクを取るなら、よりストレートに、その資産自体の価格変動が大きいものの方が良いのではと思います。
マネックス証券 チーフ・外国株コンサルタント 岡元 兵八郎
(出所:4/19配信のマネックス証券「メールマガジン新潮流」より、抜粋)
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