「中国の南シナ海(SCS:South China Sea)・東シナ海(ECS:East China Sea)への取組み」:中国は、大規模な島嶼建設、基地建設や飛行場建設を行っており、SCSの実効支配権を急速に拡大していることに、米国はじめ周辺国が懸念を強めている。尖閣諸島での海警局の船舶による頻繁なパトロールの頻度が増し、中国が占領しているSCS内のいくつかの場所で中国の民間人の存在感が増している。中国は海軍だけでなく、海警局や海上民兵も活用している。そして、中国は米国をこの地域における部外者や干渉者とみなし、「航行の自由作戦」などは平穏な地域情勢をかく乱するものだと主張し、トラブルを煽る目的だと批判している。そして、領有権問題の解決は同盟国やパートナー国との間に楔を打ち込むために、多国間ではなく二国間での協議に持ち込む戦略を用いている。
「議会の課題」:SCSとESCにおける中国との戦略的競争における議会の重要な課題は、米国の対中対立的アプローチ、FOIP(Free and Open Indo-Pacific)構想の戦略を支援する適切な財源の確保および議会の承認などである。紛争の平和的解決の原則を維持し、国際法に合致した方法で問題が解決されるべきである。そして、(1)中国がSCSで追加的な基地建設活動を行わないようにすること、(2)SCSで占有している場所の基地に追加的な軍人・装備・物資を移動させないこと、(3)SCSで主張する「九段線」に直線的な基線を宣言させないこと、(4)SCS上に防空識別圏(ADIZ:Air Defense Identification Zone)を宣言させないこと、であろう。