米労働省が発表した12日までの週次新規失業保険申請件数は前週比2.3万件増の88.5万件と、減少予想に反し、前回86.2万件から増加し9月以降3カ月ぶり高水準となった。前週分も85.3万件から86.2万件に上方修正された。申請件数はパンデミックが始まり経済が封鎖された3月最終週時に過去最高水準に達したのち、経済活動の再開に伴い徐々に減少基調にあったが11月初旬から新型コロナウイルス第3波が強まり、全米各地で規制が再び強化されたため再び増加基調にある。

11月28日時点で、2000万人近くが何らかの失業手当を受給している。失業者を支援するコロナウイルス支援・救済・経済安全保障(CARES ACT)下のパンデミック失業者支援(PUA)では、自営業者など、各州が設けている通常の失業保険で対象外となるがパンデミック下で特別な受給が可能となる。また、パンデミック緊急失業補償(PEUC)では通常の州の手当てである26週受給を終了したのち、受給期間を最長13週延長できるが、両支援策とも今月末で失効する。もし、追加対策成立せずに、支援策が延長されないと、経済が一層悪化する危険にさらされる。

経済活動の再開が思うように進まず収益が圧迫された企業は再び解雇に踏み切らざるを得ない状況となっている。飲料メーカーコカ・コーラ(KO)17日、事業再編計画の一環で全米の従業員を全体の12%削減すると発表。11月雇用統計では非農業部門雇用者数の伸びが予想の半分にとどまったが、12月には減少に再び落ち込む可能性も指摘されている。労働市場の不安は米国経済をけん引する消費の鈍化にもつながる。コンファレンスボードが発表した11月消費者信頼感指数は8月来の低水準となった。

結果は連邦準備制度理事会(FRB)が当面ゼロ金利、量的緩和(QE)の大規模緩和や政府の追加経済対策の実施を正当化する。

●11月主要経済指標の鈍化
11月雇用統計:非農業部門雇用者数、予想の半分の伸び
週次新規失業保険申請件数(12/11までの週)2週連続増加、3カ月ぶり高水準
11月小売売上高:予想外に2カ月連続のマイナス、4月来で最大の下落率
11月ISM製造業:予想下回る
11月ISM非製造業:5月来で最低
11月消費者信頼感指数:低下、8月来の低水準




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情報提供元: FISCO
記事名:「 NYの視点:11月経済、労働市場の低迷は金融・財政刺激策を正当化