米労働省が発表した12月5日までの週次新規失業保険申請件数は季節調整後(SA)前週比+13.7万件の85.3万件と、予想72.5万件を上回り、再び増加に転じ、9月の中旬以来で最高となった。

パンデミック下、労働市場の現状をより正確に反映しているとの意見もある季節調整前の申請件数(NSA)は前週比+22.9万件の94.8万件。また、パンデミックを受けて自営業者向けに特別に設置された臨時プログラム、パンデミック失業者支援(PUA)の申請件数は13.9万件増の42.8万件達した。PUAは多くの不正受給も確認されており注意が必要だが、合計で140万件近く申請されたことになる。

申請件数はコロナパンデミックによる経済封鎖で3月に過去最多を記録したのち、経済活動の再開とともに減少傾向にあった。しかし、11月に入り財政支援の欠如に加え、新型コロナウイルス第3波が蔓延した影響で外出規制が再び強化され一部企業は解雇を再開せざるを得ない状況となっている。

11月雇用統計でも非農業部門雇用者数伸びが予想の半分、5月来の低い伸びにとどまったたが、最も最新の労働市場の状況を反映しているとされる週次失業保険申請件数の増加で、12月雇用統計で雇用者数がマイナスに再び落ち込む可能性に警戒される。ブルーンバーグの予想によると12月雇用統計の雇用は15万人減と、4月以来のマイナスに落ち込む見込み。もし、今後数週間で申請件数が90万件を超えた場合、さらに悪化する可能性もあるようだ。

現在1310万人近くの失業者は、コロナウイルス支援・救済・経済安全保障(Coronavirus Aid, Relief, and Economic Security Act (CARES ACT)に基づくパンデミック失業者支援(PUA)または、パンデミック緊急失業補償Pandemic Emergency Unemployment Compensation (PEUC:通常の失業保険を26週受給後、移行して最大13週の保険が受給できる)>を受給しているが、12月末に失効する。加えて、アメリカ疾病管理予防センター(CDC)の立ち退き支払い猶予策も失効する。失業者支援策の失効は、規制の強化による景気の悪化に、さらに拍車をかけると懸念される。米国経済の回復を持続するためにも、追加経済対策の年内の成立は必至と考えられている。成立がなければ、景気先行き見通しのさらなる悪化でドルが一段と下落する可能性を強める。



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情報提供元: FISCO
記事名:「 NYの視点:米失業保険申請者数増で12月雇用統計の雇用がマイナスに落ち込むリスク上昇