米国労働省が発表した11月雇用統計で非農業部門雇用者数が24.5万人増と伸びが予想の半分となったが、ヤルデニリサーチのヤルデニ氏はこの結果が市場が考えるほど悲惨な結果ではないと指摘している。理由として、ほとんどの雇用の減少が政府関連の職種に見られることを挙げた。

通常、労働市場の回復は遅行するが、3月、4月の経済封鎖による景気後退時の水準から回復基調にあることは明確だと強調している。新型ウイルス第3波に対処する規制強化で今後数カ月景気が停滞する可能性が強いが、ワクチンの波及で2番底には至らないと期待している。

英国に続き、米国でもワクチンが早くて今週中にも配布が開始する見通し。同時に、ワクチンが全国的に行き渡るまで時間がかかりその間、連邦準備制度理事会(FRB)が指摘する通り新型ウイルスの第3波が猛威を振るい、外出規制が強化された場合、再び回復が停滞する可能性は除外できない。ホワイトハウスの新型コロナウイルス対策調整官デボラ・バークス氏は週末のインタビューで新形ウイルス感染の状況悪化が今までで最悪の結果を生む可能性があると警告。短期的な米国経済の見通し悪化はドルの上値を抑制するがヤルデニ氏の指摘したとおり、ワクチンや追加経済対策次第では最悪のシナリオが避けられ、ドルの下値も限定的となる可能性がある。

回復に勢いをつけるためにも追加経済対策の実施が待たれる。


<CS>
情報提供元: FISCO
記事名:「 NYの視点:米11月雇用統計、市場が悲観するほど悪くないとの見方も