BIS(国際決済銀行)の「Mind the buybacks, beware of the leverage」では、金融の安定性については、自社株買いではなくレバレッジに焦点を当てるべきと主張している。自社株買いはレバレッジを通じて企業の業績と財務の回復力に影響を与えているが、企業はレバレッジ目標を達成するために自社株買いを活用しているため、自社株買いよりもむしろレバレッジの方が経済活動や金融安定にとって重要であるという指摘である。

2019年に自社株買いを行った企業のうち約25%が、負債を発行したが株式は発行しなかった企業であり、レバレッジの上昇を加速させた。ただ、2010年以降で見ると、債券発行に占める自社株買いの割合は、2000年代初頭の水準に向かって低下しており、社債が増加した主因は自社株買いでなかった可能性が高い。むしろ自社株買いの源泉として重要度を増したのは内部資金である。
2010年から2019年の間に非金融企業の資産は75%増加する一方、自己資本は48%増加にとどまったため、負債比率は21%から32%に上昇した。特にレバレッジが高い企業の負債比率は、2010年の48%から2019年には60%近くに上昇した。ただ、レバレッジが産業の目標レバレッジを下回る企業の方が年間の自社株買いが大きかったことから、自社株買いの積極化は「他社に追いつくため」という動機が大きかったようである。

(株式会社フィスコ 中村孝也)



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情報提供元: FISCO
記事名:「 米国企業が自社株買いを推進した理由は?【フィスコ世界経済・金融シナリオ分析会議】