日銀短観9月調査によると、大企業・製造業の現状業況判断DIは▲27と、前回の▲34から改善した。非製造業の現状業況判断DIは▲12と、前回の▲17から改善した。製造業の先行き業況判断DIは▲17ともう一段の改善を見込む一方、非製造業は▲11とほぼ横ばいが見込まれている。

また、大企業の回復と比較すると、中堅・中小企業の回復は劣後している。中小企業については、製造業では自動車、非製造業では小売、通信、宿泊・飲食サービスの回復が大きかった。もっとも、自動車、小売、宿泊・飲食サービスについては極度の落ち込みからの反発という色彩が大きい。業況が「良い」という指摘を上回る業種は、建設、通信、情報サービス、電気・ガスに限られる。2020年度の会社計画は、6月調査との比較では、全般的に下方修正された。大企業は5.0%減収、20.8%経常減益計画であるのに対して、中小企業は9.3%減収、45.9%経常減益計画である。

企業の資金繰り判断は全規模で6月調査の+3から+5に改善した。内訳は、大企業、中堅企業は横ばいであったのに対して、中小企業は-1から+2へと改善した。金融機関の貸出態度判断は、全規模では6月調査の+19から+19と横ばいであったが、中小企業では+19から+20に改善した。

(株式会社フィスコ 中村孝也)



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情報提供元: FISCO
記事名:「 日銀短観、業況は緩やかに回復【フィスコ世界経済・金融シナリオ分析会議】