◆「中国の疫病」と中華帝国 もっとも中国共産党は、習近平体制の前からもう何年にもわたって慎重さを捨て、アジアにおいて中国帝国の再建を目指し、また世界でも従来より遠慮なくとそれを実現しようとしている。国内では、党は生活のあらゆる領域に手を伸ばしている。国内経済のすべての戦略部門では国家による統制が引き続き最優先され、中国の大手民間企業には党の細胞組織を置くことが求められる。企業は民間の所有かもしれないが、党の意向から独立しているとは決してみなされない。フィナンシャル・タイムズ紙はこのほど、中国共産党の統一戦線工作において民間企業が果たすべき重要な役割に関する一連の政策発表について報じた。統一戦線は、外国の社会やビジネスのあらゆる面で、党の方針を調整し推進する党直轄のプログラムである。中国の民間企業は、商品やサービスを海外で売るだけでなく、中国の方針を積極的に推進し支援することが期待されている。少し例を挙げれば、反法輪功や、反ダライ・ラマ、反香港抗議運動などもそうだ。統一戦線工作は政治家に対し、人権問題から中国の投資の役割に至るまで中国寄りの姿勢を取るよう働き掛けることを意味する。これは中国の成長と発展を注視してきた人たちにとっては新しいことでも驚くことでもない。ニュージーランドのアンマリー・ブレーディー博士は、ニュージーランドおよび世界各地における中国の影響について最前線で研究、執筆してきた。クライブ・ハミルトン氏とマライク・オールバーグ氏は共著「Hidden Hand:Exposing How the Chinnese Communist Party Is Reshaping the World(隠された手:中国共産党による世界再構築の画策を暴く)」 で欧州での中国の影響力行使を詳述しており、最近では徐斯儉氏とJ・マイケル・コール氏が、中国の行動によって世界の民主主義が蝕まれている実態に関する一連の論評を「Insidious Power(狡猾な力)」という書籍に編集している。