このように台湾を巡る米中両国の緊張が高まるなか、米海兵隊のウォーカー・D・ミルズ大尉は、米陸軍大学発行の軍事誌「ミリタリー・レビュー9・10月号」に「米軍は台湾に帰還させるべきだ」とする論文を発表した。ミルズ大尉は、CSBA(戦略予算評価センター:Center for Strategic and Budgetary Assessment)やランド研究所による中国のミサイル開発・軍事技術の向上などの分析や、米印太平洋軍司令官フィリップ・デビットソン提督や前海兵隊司令官ロバート・ネラー元帥による中国人民解放軍の戦力評価などを引用し、冷静かつ正確に、東アジアのパワーバランスが中国優位になりつつあると見積もっている。「米国が、中国の侵攻から台湾の主権を守る意思があるならば、台湾に米地上軍の配備を検討すべきだ」という主張である。ここで、その内容を概観してみよう。