先週末、米トランプ大統領が中国のバイトダンスに対しTikTokの米資産売却を命じました。既にMicrosoftが同社の買収を検討中としていますが、他にも米国で上場している中国企業は240社・時価総額1.5兆ドル超にも上り、その動向が注目されます。

そうした政治的な動きに、新型コロナの影響が加わり、今、企業のM&Aに世界的な復活の兆しが見えています。4-6月の世界のM&A件数は前年同期比で55%減少しましたが、足元で急回復し、7月単月では3月の水準にあと一歩となりました。特に、アジア新興国の勢いが激しく、過去最高を更新中です。

日本でも同様の動きが出始めています。7月単月のM&A件数は過去10年で最多となり、先週、日本M&Aセンター<2127>の株価は、最高値を更新しています。240万社もの中小企業が後継者不在に悩まされていることに加え、新型コロナを機に事業再編を検討する企業も増えつつあるようです。

日本では企業買収は“乗っ取り”などと忌み嫌われています。しかし、過去には日本でも、M&Aで成長を遂げた例が少なくありません。戦前には、100社を超える電力会社が猛烈なM&Aで5社に統合されていきましたし、その後の昭和恐慌でも、新興財閥のM&Aが日本経済復活の原動力となりました。今朝発表された4-6月の実質GDPは年率-27.8%の激減となりました。ここから先の復活には、企業再編も一翼を担うでしょう。M&Aはリスクも高いですが、史上最高レベルの調達環境で、かつ、株価も一時期よりはこなれているため、成功確率は改善しそうです。

米国では、M&Aの発表が月曜日に集中することからMerger Mondayなどと呼ばれています。このコラムは月曜日の朝なので(「夜話」ですが…)、そうしたディールを取り上げられないかもしれませんが、できるだけタイムリーに情報をお伝えしたいと思います。

マネックス証券 チーフ・アナリスト 大槻 奈那
(出所:8/17配信のマネックス証券「メールマガジン新潮流」より、抜粋)




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情報提供元: FISCO
記事名:「 コラム【アナリスト夜話】世界のM&A早くも猛回復:株価にプラスかマイナスか?(マネックス証券チーフ・アナリスト大槻奈那)