第4次産業革命の中、コロナショックにもかかわらず、半導体産業は大きな成長を遂げてきた。最近では、IoTの普及とともに、様々な分野で膨大な量のデータを収集、処理、蓄積をするための半導体の需要が伸びている。一方で、米中対立が深刻化する中、安全保障的な側面からも半導体産業に関心が向かっている。今回は半導体産業のバリューチェーンと、その中における日本企業の存在感を確認してみよう。

半導体産業のバリューチェーンの市場規模は4,000~5,000億ドル程度と、巨大な産業である。バリューチェーンは大まかに、(1)半導体、(2)半導体製造装置、(3)半導体材料、で構成されている。このバリューチェーンの中で、日本企業は350億ドルほどの事業規模を有する。規模面でこそ日本企業の存在感は限られるが、一部の日本企業は特定分野で強さを見せている。

2019年の半導体の市場規模は3,562億ドルであり、半導体産業のバリューチェーンの中では、最大のウェイトを占めている。その内訳はIDMが2,529億ドル、ファブレスが1,033億ドルであった。半導体メーカーのうち、設計から製造、販売まで自社ですべてを行なう企業、あるいはビジネスモデルをIDMという。一方、ファブレスとは工場を所有せずに製造業としての活動を行う企業のことである。国別に見ると、2019年の半導体の市場シェアの第1位は米国で55%、日本は6%であった。1980年後半のDRAM全盛時代には、日本は世界の過半のシェアを占めていたが、その後減少し続け、2019年は6%にまで低下している。

2018年の半導体製造装置の市場規模は598億ドルであった。日本のシェアは10%程度である。世界における2019年の半導体製造装置の売上高トップ15社のうち日本企業は8社と半数超を占めた。東京エレクトロン<8035>が2018年に引き続き3位を堅持した。カテゴリー別に企業シェアを見ると、コータ・デベロッパでは東京エレクトロンが83%以上を占めている。また、バッチ式洗浄装置では、SCREENホールディングス<7735>と東京エレクトロンなどの合計で日本が9割近くを独占している。

最後に、2019年の半導体材料の市場規模は521億ドルであり、日本のシェアは15%程度である。SEMIによる2019年の「地域別半導体材料販売額」では台湾は113億4000万ドルとなり、10年連続で首位をキープした。2019年はマイナス成長の国が多かったが、その中で中国は前年比1.9%増と、主要地域の中で唯一プラス成長となった。

(株式会社フィスコ 中村孝也)



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情報提供元: FISCO
記事名:「 半導体産業のバリューチェーンと日本企業の存在感【フィスコ世界経済・金融シナリオ分析会議】