米国労働省はワシントンで2日に最新6月雇用統計を発表する。市場は経済活動の再開とともに労働市場の回復を期待している。市場エコノミスト平均予想では非農業部門雇用者数が前月比+307.4万人と、5月+250.9万人から一段と伸びが拡大、過去最大の伸びを期待している。さらに、失業率は12.5%と、4月に大恐慌以来の高水準に達したのち、5月からさらに低下すると予想されている。

しかし、先行指標の中で、米労働省が発表する雇用統計と最も相関性が強いとされる民間部門の雇用者数を示すADP雇用統計の6月分は+236.9万人と、予想+290万人を下回った。ただ、5月分は+306.5万人と、速報の-276万人からプラスに上方修正され過去最大の伸びを記録。4月に過去最大の落ちこみを示し底入れ後増加傾向にあることは確か。加えて、失業保険申請件数も減少傾向にあるとはいえ減少ペースは鈍い。
ISM製造業景況指数の雇用も42.1と、4月に1949年来で最低に落ち込んだのち回復基調にあるものの11カ月連続で50割れで活動の縮小が示されている。

アリゾナやフロリダなど数州でのウイルス感染の拡大で経済活動の段階的再開が中断、または、再開ペースが一段階前に戻されるなど雇用の増加が今後さらに停滞する可能性が懸念される。

米国の経済指標で住宅市場など一部予想を上回る結果が見られる中、パウエルFRB議長は景気や労働市場は依然危機前の水準を下回っており、景気回復には20万人の失業者の雇用回復が必至でかなりの時間を要すると考えているようだ。ウイルス感染第2波が再び景気を圧迫、企業破綻が拡大し第2の雇用削減が拡大することを懸念している。米国債市場ではFRBがいずれイールドカーブコントロールを導入するとの思惑が根強くドル売り圧力となっている。

■6月雇用統計の先行指標

・ISM製造業景況指数:雇用:42.1(5月32.1)

・米・ADP雇用統計:・米・6月ADP雇用統計:+236.9万人(予想:+290万人、5月:+306.5万人←-276万人)

・NY連銀製造業景況指数:
雇用(現状):−3.5(5月−6.1、6カ月平均−8.5)
週平均就業時間:−12(−21.6、6カ月平均−17.6)

6か月先
雇用:19(5月10.5、6カ月平均12)
週平均就業時間:+5.0(8.1、6カ月平均+7.1)

・フィラデルフィア連銀製造業景況指数
雇用(現状):−4.3(5月−15.3、6カ月平均−5.5)
週平均就業時間:−6.5(5月−7.1平均−8.7)

6か月先
雇用:29.6(16.2、6か月平均25.1)
週平均就業時間:25.9(19.6、6か月平均21)

・消費者信頼感指数(%)

雇用現況(%)
十分:20.8(5月16.5、前年44.0)
不十分:55.4(54.3、40.2)
困難:23.8(29.2、15.8)

6カ月後の予想
雇用
増加:38.4(5月39.5、前年17.5)
減少:14.2(19.9、13.9)
不変:47.4(40.6、68.6)

所得
増加:15.1(14.6、20.5)
減少:14.4(15.4、7.5)
不変:70.5(70.0、72.0)

・失業保険申請件数

件数 前週比 4週平均 継続受給者数
06/20/20| 1,480,000|   -60,000| 1,620,750|   n/a
06/13/20| 1,540,000|   -26,000| 1,781,500|  19,522,000
06/06/20| 1,566,000|  -331,000| 2,008,000|  20,289,000
05/30/20| 1,897,000|  -226,000| 2,288,250|  20,606,000
05/23/20| 2,123,000|  -323,000| 2,608,000|  21,268,000
05/16/20| 2,446,000|  -241,000| 3,044,000|  20,841,000
05/09/20| 2,687,000|  -489,000| 3,543,000|  24,912,000
05/02/20| 3,176,000|  -691,000| 4,180,500|  22,548,000

■市場予想
失業率:12.5%(5月13.3%)
非農業部門雇用者数:前月比+307.4万人(5月+250.9万人)
民間部門雇用者数:前月比+300万人(5月+309.4万人)
平均時給:予想:前月比−0.8%、前年比+5.3%(5月−1.0%、+6.7%)





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情報提供元: FISCO
記事名:「 NYの視点:米6月雇用統計:一段の回復期待もペース鈍化を警戒