全米不動産協会(NAR)が発表した5月中古住宅販売件数は前月比9.7%減の391万戸となった。3カ月連続の減少で、2010年10月来で最小となった。前年比では26.6%減。前年比での下落率は金利水準が14%近くとなっていた1982年以来で最大を記録した。

パンデミックで在庫は前年同月比18.8%減。中間価格は前年同月比2.3%高の284600ドルとなった。供給のひっ迫が価格を吊り上げたものの、伸びはリセッションから回復し始めた2012年2月来の低水準にとどまった。低価格帯住宅の売上ペースが加速する一方、高価格住宅の売り上げが滞っているため。

ウイルスパンデミックによる経済封鎖で失業者が増え、住宅ローン不履行も2011年以降9年ぶり高水準に跳ね上がっており、金融安定のリスクにもつながりかねない。同時に、NARのチーフエコノミストは6月に入り経済活動が再開しているほか、経済に大規模な刺激策が注入されており、住宅市場は5月が底になり、購入者や供給が戻ってくる自信があると楽観的見方を示している。

クドロー国家経済会議(NEC)委員長も規模はまだ不透明だが、追加財政策の実施はほぼ確定だとしている。できるだけ多くの企業が破綻を免れ、雇用が回復し2008年のような住宅、金融危機が回避されることが重要。米連邦準備制度理事会(FRB)も当面ゼロ金利政策や量的緩和(QE)を維持する方針だが、ボストン連銀のローゼングレン総裁は22日のヤフーのイベントで、「利上げには程通い」と繰り返しており引き続きドル売り圧力となった。






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情報提供元: FISCO
記事名:「 NYの視点:米5月中古住宅販売件数は10年ぶり低水準も底入れ期待