米国労働省はワシントンで5日に最新5月雇用統計を発表する。市場エコノミスト平均予想では非農業部門雇用者数が前月比800万人減と過去最大の減少となった4月の2053.7万人減から回復が見込まれる一方で、失業率は19.5%と、大恐慌以来で最高に達する公算。

先行指標の中で、米労働省が発表する雇用統計と最も相関性が強いとされる民間部門の雇用者数を示すADP雇用統計の5月分は276万人減と、過去最大に落ち込んだ4月の1955.7万人減から予想900.0万人減以上に改善した。ADPの結果を受けて、ムーディーズのアナリスト、ザンディ氏は、ウイルス感染の深刻な第2波や政治的な間違いがなければ、新型ウイルスパンデミックに端を発した急激な景気後退が終了したと楽観的な見通しを示した。同時に、ウイルスのワクチンや治療薬が開発され広範に波及されるまで、回復ペースは遅いものになると注意を促した。同氏はおおよそ5000万人の米国労働者がウイルスによるリセッションに何らかの影響を受けたと試算している。解雇が3月末から4月初旬にかけてピークを迎え5月にかけて減少傾向にあり、雇用の最悪期も脱し、6月にも雇用創出が再開される可能性が高いと楽観的な見通しを示している。
最新の週次失業保険申請件数でも解雇ペースの鈍化が示されたほか、経済活動の再開に伴い雇用も再開されている。

一方で、米国経済の7割を消費が占めるため注目されるISM非製造業景況指数の5月分の雇用は31.8と4月の30.0から小幅の上昇にとどまっている。3カ月連続で50を下回り活動の縮小を示しており6カ月平均は45.4。速やかな回復には程遠いとの見方も根強い。全米の製造業活動を示すISM製造業の雇用は32.1で戦後最低となった4月の27.5から上昇も10カ月連続の50割れで活動は縮小、2009年3月以降で2番目に低水準となった。

5月各地区製造業景況指数の雇用の大幅改善は、労働市場が底入れしたさらなる証拠になる。5月雇用統計では、雇用の底入れが確認できるかどうかが焦点となる。

■5月雇用統計の先行指標

・ISM製造業景況指数:雇用:32.1(4月27.5)

・ISM非製造業景況指数:雇用31.8(30.0)

・米・ADP雇用統計:-276万人(予想:-900.0万人、4月:-1955.7万人←-2023.6万人)

・NY連銀製造業景況指数:
雇用(現状):−6.1(4月−55.3、6カ月平均−6.2)
週平均就業時間:−21.6(−61.66、6カ月平均−15.5)

6か月先
雇用:10.4(4月5.2、6カ月平均10.8)
週平均就業時間:+8.1(8.4、6カ月平均+7.9)

・フィラデルフィア連銀製造業景況指数
雇用(現状):−15.3(4月−46.7、6カ月平均−2)
週平均就業時間:−7.1(−54.5(+0.5、6か月平均−6.2)

6か月先
雇用:16.2(26.6、6か月平均19.6)
週平均就業時間:19.6(26.0、6か月平均19.6)

・消費者信頼感指数(%)

雇用現況(%)
十分:17.4(4月18.8、前年45.3)
不十分:54.8(46.7、42.9)
困難:27.8(34.5、11.8)

6カ月後の予想
雇用
増加:39.3(4月41.2、前年18.4)
減少:20.2(21.1、13.0)
不変:40.5(37.6、68.6)

所得
増加:14.0(17.2、22.2)
減少:15.0(18.4、7.8)
不変:71.0(64.4、70.0)

・失業保険申請件数

件数 前週比 4週平均 継続受給者数
05/23/20| 2,123,000|  -323,000| 2,608,000|   n/a
05/16/20| 2,446,000|  -241,000| 3,044,000|  21,052,000
05/09/20| 2,687,000|  -489,000| 3,543,000|  24,912,000
05/02/20| 3,176,000|  -691,000| 4,180,500|  22,548,000
04/25/20| 3,867,000|  -575,000| 5,040,250|  22,377,000
04/18/20| 4,442,000|  -795,000| 5,790,250|  18,011,000
04/11/20| 5,237,000| -1,378,000| 5,506,500|  15,819,000
04/04/20| 6,615,000|  -252,000| 4,267,750|  11,914,000

■市場予想
失業率:19.5%(4月14.7%)
非農業部門雇用者数:前月比−800万人(4月−2053.7万人)
民間部門雇用者数:前月比−725万人(4月−1955.7万人)
平均時給:予想:前月比+1.0%、前年比+8.5%(4月+4.7%、+7.9%)







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情報提供元: FISCO
記事名:「 NYの視点:米5月雇用統計:パンデミックリセッション終了示唆か