欧州中央銀行(ECB)は定例理事会で市場の予想通り政策金利を据え置いた。同時に、パンデミック対処で資金供給を拡大。銀行向け新たなパンデミック・リファイナンスオペ(PELTRO)を発表した。さらに条件付き長期リファイナンスオペ第3弾(TLTRO3)の条件をいっそう緩和。金利を預金ファシリティレートの‐0.5%からさらに50ベーシスポイント最大で引き下げ、実質−1%とする。しかし、拡大が予想されていたパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)の規模は7500億ユーロに据え置かれたことは、市場の失望感につながった。

ラガルドECB総裁はPEPPがパンデミックという的を絞った一時的な措置であり年末までの期限を定めているとし、並行して既存の債券・国債の購入プログラム(APP:asset purchase programme)を継続していると念を押す一方で、必要とあればPEPPを来年以降に延長することや規模の拡大など修正する準備があると柔軟性を見せた。

また、期待されていたOMT無制限の国債購入も「現状に見合わない」との判断。一部で憶測のあったジャンクボンドの購入に関しては協議しなかったと応えた。イールドコントロールに関しては、現在の手段でECBが全てのカーブに対処可能だと述べた。

■市場で憶測のあった緩和手段
イールドコントロール:現在の手段でECBが全てのカーブに対処可能
ジャンクボンドの購入:協議しなかった。
パンデミック緊急購入プログラム(PEPP):必要とあれば規模拡大、期間延長も
OMT無制限の国債購入:現状に見合わない

パウエルFRB議長と同じく、ラガルドECB総裁も少なくとも来年まで経済の正常化は困難との見解で、危機体制を継続する姿勢を表明。主要各国中銀は追加緩和が必要となる可能性に備えている。





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情報提供元: FISCO
記事名:「 NYの視点:ECB、年内危機体制を維持へ