通商問題などを巡る米中の対立は長期化の様相を呈している。市場参加者の間では「米国側は二国間の貿易不均衡を是正することよりも、中国の経済的、軍事的膨張を阻止することを優先しているように思える」との声が聞かれている。貿易・通商問題を巡る米中の対立は両国による覇権争いとの見方も少なからず存在する。

米国は5月10日午前0時1分から、中国から2000億ドル相当の輸入品に対する関税率を現行の10%から25%に引き上げており、課税対象外となっている3250億ドルの中国製品についても25%の関税を課す可能性があると伝えた。米国はさらなる動きを見せており、商務省は政府の許可なく米企業から部品などを購入することを禁止する「エンティティーリスト」に中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)と同社の関連68社を正式に追加した。

しかしながら、米商務省は20日、中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)がネットワークの保守や既存のスマートフォン向けのソフトウエア更新を行えるようにする措置を発表した。商務省によると、この措置はファーウェイの既存顧客を支援するためであり、8月19日まで有効となる。

市場関係者の間からは、「米国はファーウェイ排除の方針を変えていないが、中国側の対応を探っており、強硬姿勢で協議に臨むことは避けるのではないか」との声が聞かれている。また、「中国はレアアース(希土類)の輸出停止を視野に入れている」との思惑も浮上しており、通商問題などを巡る米中対立は新たなステージに突入し、対立の長期化は避けられないとの懸念が広がっている。




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情報提供元: FISCO
記事名:「 NYの視点:米中対立は新たなステージに突入か