中国共産党政権はインターネット、科学技術、世界的な貿易まで、西側諸国にとって敵対的な手法で支配の手を広げている。このことに、どれほどの人が注目しているだろうか。

格言の通り、「知は力」になる。デジタル時代では、知識はウェブやクラウドに保存され、ネットワーク設備を通じて転送されていく。

デジタル技術の世界的けん引者である中国共産党は、世界中のすべての情報スペースの支配者になることを狙っている。言い換えれば、中国共産党政権の最終目標は世界を掌握することだ。

今日のニュースを見ていれば、毎日少しずつ、彼らがその目標達成のために着実に動いていることが分かる。

*中国共産党政権は国内ネットワークを制御

中国共産党政権が、世界のネットワークの支配という目的を達成するためにまず行っているのが、中国国内ネットワークの制御だ。

その最初の段階として、当局は2014年、国家インターネット情報弁公室を設置した。インターネット上の情報を統制し、監視し、検閲する権限を握っている。

中国共産党政権にとって不都合とみなされる歴史的事情、軍事、国際関係、そのほか潜在的な脅威となるウェブコンテンツやサイト、キーワードは封鎖、あるいは言及が禁止される。違反者に逮捕や有期刑など、重い処罰を下す場合もある。

国内インターネットの管理を強化するために、中国政府は海外企業に対しても、当局の規定を適用させ、国外につながる仮想プライベートネットワーク(VPN)、暗号化やその他のプライバシー保護システムの使用も禁じている。これには、グーグルやアップルなどIT大手も含まれる。

さらに、中国で事業を営む国内外の全企業に、自社データを中国に保存させ、当局がアクセスできるようにしている。これらの方針に違反する企業と個人は、罰金から投獄まで、さまざまな方法で処罰される。

*外国技術への依存と排除

サイバースペースの支配を狙う中国共産党政府にとって、海外企業への技術依存から抜け出せるかどうかが目標実現のネックとなっている。そのため、技術振興策である「中国製造2025」が施策された。現時点では依然として集積回路、ネットワーク機器、イノベーション技術などを海外企業に依存している。そのため、海外企業からの供給が中断されれば、致命的な影響を受ける。

最近、米国はZTEに対して、イラン制裁違反により米企業からの部品調達を7年間禁止した。世界で7.5万人もの雇用者を抱えるZTEは、米国社製の集積回路に依存していたため、トランプ政権の決定に大打撃をこうむった。

米国は、部品の供給を止め10億ドルもの罰金を下し、ZTEの主要事業を停止にまで至らせた。トランプ政権は「違法行為には容赦しない」という強烈なメッセージをZTEと中国指導部に投げかけた。

習近平政権の掲げた中国製造2025は、この海外企業への技術依存から脱却を図ろうとするものだ。1500億ドルを投資して、国産半導体のシェアを2020年までに40%、2025年までに60%に引き上げる計画だ。

米国と肩を並べる世界経済大国へとまい進するため、中国製造2025では人工知能、ロボット技術、車の自動運転などハイテク分野において、世界の市場で支配的な地位を狙う。このため、中国当局は基幹インフラとなる「5G」を、中国製造2025で最重要分野として位置付けている。

IoT(モノがネットワークにつながる社会)など、将来のネットワーク通信過剰依存社会で、その基礎となる5Gは重要視されている。中国当局は、この5Gなど、特に情報処理機器を中国産や中国企業が所有する技術に置き換えようとしている。

市場占有率の拡大のみならず、海外の競争相手を完全に廃業に追い込む計画もある。メイド・イン・チャイナを独占的に拡大させ、巨大な影響力を持とうと考えている。つまり「国内規格」を「国際規格」に変え、競争国の経済をかく乱させようとしている。

中国共産党政権は、国際貿易を競争相手の破壊的敗北に至らせるゼロサムゲーム(勝者は一人だけの競争)と見ている。

中国製造2025は中国共産党政権にとって通過点に過ぎない。クリストファー・フォード米国際安全保障・不拡散担当国務次官補によれば、建党100年になる2049年には、大国としての地位を確立し、東アジアの主導権を握る計画がある。

最近では、米議会やメディアでも、中国製造2025について「世界覇権構想の一環」として言及されている。しかし、中国当局はこの先を行く計画を最近発表した。

2018年11月国営通信・新華社によると、「中国標準2035」は集積回路の設計、バーチャルリアリティ(VR、人工現実感)、スマート型健康・高齢者介護産業、5Gの重要部品などの国家規格の制定に着手する。将来的にIoT、情報技術設備の相互接続、太陽光などの分野にまで広げる。記事は、最終的にこれらのチャイナ規格を「国際規格」に押し上げると記した。

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(LLUISGENE/AFP/GettyImages)

*新たな地政学の戦略 サイバー戦争

中国共産党政権が世界のデジタルとハードの両面を支配し、サイバー大国になることは、長期目標の通過点に過ぎない。技術の世界は実際に現実世界に多大なる影響を及ぼし、他国に対して戦争を仕掛けることができる、国家・民間・軍といった多方面からの戦略を持つことになる。

サイバー戦争は、1つの戦場、つまりデジタル空間における経済的、政治的、技術的な戦争であり、他のすべての戦場に影響を及ぼす。

今日では急速なデジタル基盤で技術が発展している。戦場においても、世界的なデータ更新と情報交換を制御することで、効率的に敵対勢力に対して優位性を得ることができる。

これまでのところ、中国はこのサイバー戦争を意識的に戦略的に展開する唯一の国だ。

中国共産党政権は、国内外の民間企業の技術を吸い上げ、関連国や米国の防衛ネットワークからも技術を盗み出して、サイバー空間に混乱を起こせば勝利できることを、よく分かっている。

ファーウェイやZTEなど、当局の手となり足となる中国企業は、米国技術特区シリコンバレーを含む世界中のハイテクノロジーの拠点で足場を固めた。これらの通信ハブに入り込んで、海外の情報先駆技術、遠隔操作の車両運転、人工知能(AI)、クラウドコンピューティングの操作機能などを入手しようとしている。

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北京市内に掲げられたファーウェイの看板(GREGBAKER/AFP/GettyImages)

*ネットワーク戦略

中国製のサーバー、スマートフォン、その他の技術的なハードを利用するユーザー情報は、すべてのデータを中国製ネットワーク経由で中国本土に送信されている。データを簡単に収集して盗むように設計されている。

驚くべきほどに巨大なこのシステムは、中国共産党政権が、世界の各地域を統合させ、世界最大のデータ供給と配信源になるということだ。

トランプ大統領の関税措置は中国共産党を足踏みさせた。そして、ヨーロッパからの苦言は確かに党の耳に入っている。しかし、彼らは本当に、米国貿易戦争の対応として、巨大な世界の覇権構想を遅延させるだろうか? 公表する内容を多少変えるだけではないか。

中国共産党政権は2000年、西側諸国に対しても市場開放するとの約束を破った。こうした行動を見る限り、中国との「約束」は、表向きに見せるものの微調整程度のものだろう。

これらの広大な計画に直面する世界は、中国の野心に対して、行動しなければならない。

世界は、自由で開かれた国際秩序を維持するために戦うのか、それとも中国共産党の抑圧と残虐行為による中国中心の世界に屈服するのか。

世界の自由を愛する国々は、どのような未来を望んでいるのか、決断しなければならない。

寄稿者:ジェームス・ゴリー(JamesGorrie)

作家。『ChinaCrisis(中国危機)』(2013)の著者。同書は技術、学術、政治などさまざまな分野に影響力を強める共産党政権の力を分析し、自由と民主を掲げる西側諸国に警戒を促す。

(翻訳編集・佐渡道世)



【ニュース提供・大紀元】




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情報提供元: FISCO
記事名:「 <評論>国際規格が「チャイナ規格」に 自由を愛する国々は決断しなければならない