投資家・投機家筋のポジションで円売り持ち高は前々週から減少した。今週は主要各国中央銀行の金融政策に注目が集まる。また、米国政府機関閉鎖の可能性や英国の欧州連合(EU)離脱の行方にも引き続き注視が必要となる。

労働市場のひっ迫やインフレの安定で、米連邦準備制度理事会(FRB)は今年最後のFOMCで4回目の利上げに踏み切る見込み。しかし、声明や会合後に予定されているパウエルFRB議長の会見、スタッフ見通しで、景気やインフレの判断または見通し、金利見通しが引き下げられるハト派的利上げを織り込む動きが主導すると見る。前回9月時点のFOMC予測でメンバーは2019年3回の利上げを予想していた。市場関係者の中には、12月に利上げに踏み切ったのち、来年1年を通じて利上げが見送られるとの見方も強まりつつある。トランプ大統領が実施した財政刺激、減税策の景気への効果が弱まり成長減速が警戒されている。

一方で、消費は予想以上に堅調。米国経済の7割が消費が占めるため注目されていた米11月小売売上高は予想を上回った。特にGDP算出に用いられるコントロールグループ(自動車・建材・給油・食品を除いた小売り)は予想のほぼ2倍となり、10−12月期GDP成長を押し上げる可能性が出てきた。市場エコノミストによる平均成長見通しは0.2%引き上げられ3.0%。アトランタ連銀は予想を従来の2.4%から3.0%へ引き上げた。エコノミストは2019年1−3月期は2.4%成長を予想。金融危機以降、1年を通じて、1−3月期が最も低調な成長にとどまる傾向にある。

さらに、21日には米国予算案の期限がくる。メキシコ国境の壁建設資金を巡り、共和党と民主党の意見が依然食い違っている。民主党指導者は建設費用の50億ドル資金の供給を支持しないとする一方、トランプ大統領は国民の安全を守るため、政府機関閉鎖も辞さない断固とした方針を表明している。

英国では離脱の行方が依然不透明。英国議会、欧州連合(EU)の両者とも離脱協定において、譲歩の姿勢を見せず、信任投票で生き残ったもののメイ首相は引き続き困難に直面。離脱協定への不透明感がポンドの売り圧力となる。

日本銀行、英国中央銀行とも金融政策を現状で据え置くと見られている。

■今週の主な注目イベント

●米国

18−19日:米連邦公開市場委員会(FOMC)、パウエルFRB議長会見、ドットプロット

21日:予算案期限、7−9月期国内総生産(GDP)確定値:予想前期比年率+3.5%
(改定値+3.5%)、
11月PCEコア:前年比+1.9%(10月+1.8%)

●日本

19−20日:日銀金融政策決定会合、黒田日本銀行総裁会見

●欧州
19日:欧州委員会:イタリア予算を検討
●英国
20日:英国中央銀行:金融政策決定会合

●中国

19−21日:年次経済政策会合

●地政学的リスク

トルコ:
北朝鮮:
イラン
ガザ紛争
イラク、イスラム過激派組織「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」
シリア
イエメン



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情報提供元: FISCO
記事名:「 NYの視点:円売り持ち減:今週の注目:FOMC、日銀、英中銀金融政策決定会合