米国と、メキシコは貿易協定で合意にいたった。トランプ大統領は、NAFTA(北米自由貿易協定)の名称を削除すると同時に、協定内容を無効とし、新たな米国メキシコ貿易協定に書き換えると発表。協定合意案は31日に議会に送られ、承認が必要となる。正式な署名は11月になるという。

NAFTA改定は、24年ぶり。トランプ大統領はメキシコとの2国間、または、カナダを加えた3国間での合意も可能だと指摘。さっそく、カナダとの交渉を開始するとした。欧州を訪問中だったカナダのフリーランド外相は交渉協議のために、予定を急遽変更し28日に訪米、ワシントンを訪れる。メキシコのデガライ外相は、「米国とカナダが合意しないとしても、メキシコは米国との2国間協定を承認する」とした。米国とメキシコの合意を受けて、貿易摩擦懸念が緩和。カナダやメキシコを始め新興市場は7月以来の大幅な伸びを示した。

トランプ大統領はメキシコとの貿易協議を進める一方で、ドイツのメルケル首相とも電話会談を実施。ドイツ政府が発表した声明によると、貿易やシリア情勢を中心とした国際問題が議題となった模様。

貿易摩擦問題で市場の最大の関心は、合意が難航すると見られる米国と中国。米国と中国は今月、160憶ドル規模の商品に相互に高関税を発動した。トランプ政権は中国製品2000億ドル相当に追加関税を発動する構えをすでに示している。トランプ大統領は、「中国と貿易協議する時期ではない」とした。貿易に関して、メキシコやカナダ、また、欧州と合意し、周りを固め、レバレッジをさらに高めることにより、中国との貿易協議に挑む可能性がある。

トランプ大統領は度々、中国が貿易競争に勝利するため、為替操作していると非難。米国が関税を賦課したことへの報復措置の一環として通貨安を利用していると批判してきた。先週実施された米中次官協議の再開をきっかけに、人民元は安定しつつある。中国人民銀行は27日、人民元取引の対ドル基準値を1ドル=6.8508元と前週末の基準値より0.29%元高に設定した。市場は、「予想よりも元高に設定された」と指摘。当局が過度な元安を食い止めるための措置を再開していることは、中国が少なくとも協議の意向がある証拠ともとれる。トランプ大統領は、いずれ中国とも貿易協定で合意できるとしている。




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情報提供元: FISCO
記事名:「 NYの視点:トランプ米政権、貿易摩擦解消に向け前進