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米国防総省が16日、中国当局の軍事力に関する年次報告書を発表した。米政府は、中国当局が「一帯一路」経済圏構想などさまざまな手段を通じて、国際社会で影響力の拡大を狙っていると指摘した。また、中国当局が西太平洋地域の米軍基地などを狙う爆撃機による空爆能力と、宇宙兵器、サイバー攻撃、電子戦などいわゆる「非対称戦争の軍事力」を強化していることに対して強い警戒感を示した。
*一帯一路で影響力拡大
同報告書は、中国軍の近代化に着目し、中国当局が経済力、外交、軍事力などを武器に、隣国など他国を次々と支配下に置こうとしているとの見方を示した。その目的を達成するために、「一帯一路」経済圏構想とアジアインフラ投資銀行(AIIB)を利用していると、米政府が明確に示した。
スリランカやニュージーランド、ギリシャの各国政府が近年、それぞれ国内一部の海湾の長期運営権を中国当局に許可した。同報告書は、中国当局が昨年、東アフリカのジブチで初となる海外での軍事基地の運用を始めたことに言及。ジブチは、紅海とインド洋につながるアデン湾に面している海上交通の要衝だ。
米側は、中国が軍事・貿易において優位性を持つために、世界各地の海上要衝を狙っているとの見方を示した。各国の重要な港を保有すれば、軍事力の拡張によって、今後海外で活発な動きをする中国軍への物資供給の拠点を確保できるという。
昨年中国の国防費は1543億ドルに達した。同年、国防費が552億ドルだったインドの約3倍で、461億ドルだった日本の約4倍、そして台湾の105億ドルの15倍に相当。しかし、米政府は、2017年中国の実際の国防費は1900億ドルを上回ったと推定した。同報告書は、28年に中国の国防費は2400億ドルに上り、米に次ぐ規模まで拡大すると予測。
*爆撃機訓練の強化と沿岸警備力の拡大
米政府は、中国軍が日本などの米軍基地を標的に、太平洋での爆撃機訓練を強化していることを警戒している。昨年8月、中国空軍の大型爆撃機H-6Kの6機が日本の西南に位置する宮古海峡を通過し、初めて沖縄県東側の海域に入った。沖縄県には4万7000人の駐日米軍がいる。
国防総省の報告書は、「グアムなど、西太平洋地域における米国および同盟国の軍事基地への攻撃力を誇示する中国の狙いがある」と指摘。2016年、中国の爆撃機の数は400機。17年には130機増えて530機となった。また物資運送機、空中給油機などの数も17年に15機増加した。
現有の巡航ミサイルを搭載可能の爆撃機のほかに、中国は核爆弾を搭載できる長距離ステルス性爆撃機を開発している。
米メディア「ワシントン・フリービーコン」(17日付)によると、国防総省の報告書では、中国当局が南シナ海と東シナ海をにらんで沿岸警備力も強化しており、55隻の沿岸警備艦を増加したという。
台湾に関して、「中国は武力で台湾を統一する野心を安易に取りやめないだろう」と指摘。南シナ海においては「人工島で3カ所の軍事施設の建設を続けている」という。
報告書によると、中国当局は陸・海・空にとどまらず、非対称戦争の戦略として宇宙やサイバー攻撃、情報戦、電子戦など各分野で戦闘力を強めている。
トランプ米大統領は13日、中国の軍事脅威に対抗して、2019会計年度国防権限法(NDAA)に署名した。成立した同法には、総額7166億ドルの軍事支出が盛り込まれた。また、同法によって、米政府が中国通信機器大手の中興通訊(ZTE)と華為技術(ファーウェイ)との取引禁止が明確化され、中国企業による米企業への投資を抑制するために対米外国投資委員会(CFIUS)の権限が強化された。
大統領は今月、2020年まで陸海空などに次、6番目の軍として「宇宙軍」を創設すると言及した。
同報告書の責任者は、昨年末に就任した同省アジア・太平洋担当のランドール・シュライバー次官補だ。同氏は対中強硬派として知られている。
(翻訳編集・張哲)
【ニュース提供・大紀元】
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