東京金融取引所(金融取)が手掛ける取引所為替証拠金取引「くりっく365」では、7月の取引数量は前月比6.0%増の260万4952枚となった。1日の平均取引数量も11万8407枚と前月比で増加したほか、月末時点の証拠金預託額4676億円と前月比で4億円増加した。取引通貨量では、米ドル、トルコリラ、南アランド、豪ドル、メキシコペソの順となっている。なお、昨年の2017年10月上場のメキシコペソ・円は、英ポンド・円を抜いて、上場以来初めてトップ5に入った。

一方、取引所株価指数証拠金取引「くりっく株365」では、7月の取引数量は前月比15.2%増の36万5235枚。1日の平均取引数量も1万6602枚と前月比で増加したほか、月末時点の証拠金預託額は593億円と前月比で6億円増加している。

メキシコペソ・円相場の商いが活況となった背景として、北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉に絡んだ動きが挙げられる。メキシコと米国が合意を積極的に目指す姿勢を示したことで、交渉の早期合意期待が高まり、メキシコ経済が改善に向かうとの見方から、メキシコペソが買われる展開となった。メキシコ次期大統領に就任予定のロペス・オブラドール氏は、現政権下でのNAFTA再交渉継続に同意している。大統領選の際には米国に対して強硬姿勢をみせていたこともあり、市場には安心感が広がったようだ。また、アメリカ合衆国通商代表部(USTR)の代表もNAFTA再交渉の8月妥結に意欲を示した。一方、国内要因では、日銀の金融政策決定会合でフォワードガイダンス導入など、強力な金融緩和を継続するための枠組み強化決定の発表を受けて円売りが広がった。それによりメキシコペソ・円も上昇が加速し、6円台乗せとなった。

8月のメキシコペソ・円相場については、基本的にメキシコペソの上昇傾向が続くと見込んでいる。7.75%という高い政策金利に関心が向かいやすいなか、8月相場の注目点は引き続きNAFTA再交渉の行方だ。これについて、3カ国(NAFTA加盟3カ国)の損失最小化・利益最大化のためには合意が不可欠という認識を、メキシコは米国と共有できたようだ。8月末までの合意は困難を伴うとしても、11月6日の米中間選挙前の合意に展望が開け始め、引き続きメキシコペソの有力な買い材料にとなると考えている。また、メキシコ中銀の金融政策については、6月の利上げ後、8月は据え置きとしたが、7月消費者物価指数の伸びが拡大しており、追加利上げ観測(中銀の次回会合は10月)がメキシコペソの下支えになる面もあろう。

ただ、円についてだが、8月から日米貿易協議(FFR)が始まる。米中貿易戦争の拡大が懸念される折、日本と米国との通商交渉が本番入りすることになり、過去のパターンからどうしても円先高思惑が広がりやすく、メキシコペソ・円の上昇にややブレーキがかかる可能性も考えなくてはならない。






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情報提供元: FISCO
記事名:「 8月のくりっく365、高金利通貨メキシコペソの売買活況が続くか