トランプ米大統領は、イラン核合意に関する米国の方針をワシントン時間8日午後2時に発表することを明らかにした。トランプ米大統領は選挙中から度々、前オバマ米大統領のレガシーとも言えるイラン核合意(米、英国、ロシア、フランス、中国、ドイツ)の内容がひどく、「ないほうがましだ」と訴えてきたが、放棄する方向にあると、ニューヨークタイムス紙が報じた。

フランスのマクロン大統領は4月にワシントンを訪問、イラン核合意にとどまるよう説得し、撤廃よりも修正を提案。ドイツのメルケル首相や英国のボリス・ジョンソン外相も米国を訪問し、合意にとどまるよう説得に努めた。しかし、米国の決定にかかわらず、フランスやドイツは合意にとどまる意向。欧州はイラン制裁撤廃の恩恵を受け、輸出が大幅に伸び、経済が支援された。

米国がイラン核合意を放棄し、対イラン制裁を再開する可能性を織り込み原油価格は上昇。NY原油先物は2014年11月以降の70ドル台に達した。市場は8割がた、米国が合意を放棄すると見ている。対イラン制裁の実施は2014年11月来で初めて。地政学的リスクが上昇する可能性が警戒されている。

イランのロウハニ大統領は、6日、トランプ米大統領が2015年のイラン核合意を放棄した場合、米国は「歴史的な後悔」に直面することになると警告。トランプ大統領が正式にイラン核合意の放棄を発表した場合、米国とイランの関係が悪化する可能性が新たなリスクとなる。





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情報提供元: FISCO
記事名:「 NYの視点:中東地政学的リスクの上昇に警戒、イラン核合意の行方に注視