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中国国営新華社通信英字版が25日、3月開催の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)に対して国家主席の任期撤廃に関する憲法改正案を提出したと報道した。突然の発表に注目が集まっている。習近平氏が長期政権を目指す憲法改正案に党内の反発が高いためだと推測する専門家もいる。
今回の報道の前日、共産党中央政治局は、第19期中央委員会第3回全体会議(3中全会)の開催を発表した。中国共産党は文化大革命後の1978年から、3中全会はほぼ秋に開催されてきた。このため、今回の開催は異例とされた。
また、これまで3中全会は国内の経済問題を議題にしてきたことに対して、今回は最高行政機関の人事問題と国家機関の改革について議論するという。
28日に3中全会の終了後、3月3日と5日、全国政治協商会議と全人代(国会)、年に1回の「両会」が開催される予定。
*最高指導部で強い反発か
中国政治評論家の陳破空氏は自身のYouTubeチャンネルにアップした動画で、「習近平氏が反発を抑えるために、3中全会の開催を前倒しにしたのだろう。クーデターを発動したようなものだ。3中全会に先立って改憲を発表してしまえば、会議に参加する400人を超える中央委員、中央候補委員はそれに同意するしかない」と述べた。
1月の2中全会の閉幕後に発表されたコミュニケでは、「国家主席の連続2期10年の任期制限を撤廃する」との内容はなかった。同会議で、党内では国家主席の任期についての意見は一致しなかったことが示された。しかし、その後に各派の間で何らかの妥協が行われ、国家主席の任期撤廃案にこぎつけた、と陳氏は分析する。
陳氏は、習近平氏は党内から反故にされるのを恐れ、25日に急いでメディアを通じて撤廃案を発表したのではないかと推測する。
米ボイス・オブ・アメリカ(VOA)によると、中国政治に詳しい元外交官のダグラス・パール氏や、J・ステープルトン・ロイ元中国大使など米国専門家も同様に、国家主席の任期撤廃について、習近平氏は党内から強い反発を受けているとの見方を示した。
また、昨年10月の党大会で閣僚級の人事は決まっており、3月に開催される両会では、おもに副閣僚級の人選をしなければならないという。
1月の2中全会以降、昨年最高指導部から退任した王岐山・前中央規律検査委員会主席が国家副主席に、劉鶴氏が副首相にとそれぞれ就任する見方が高まった。
「これに加えて、反腐敗を指揮する新たな機関、「国家監察委員会」のトップの人事も非常に重要だ。中国の最高指導部内では、これらの人事に関して大きな対立が生まれている可能性が高い」と陳氏が指摘した。
また、陳氏が人事問題のほかに、昨年の党大会以降国内外政治・経済情勢が不穏が続き、習近平氏が党内各派から攻撃を受けている可能性を示した。
国内では、暖房ガス化推進計画の挫折、首都圏での季節労働者の排除、北京で起きた園児の虐待問題などがある。海外では、当局の「一帯一路」経済圏構想への抵抗、北朝鮮問題をめぐり米中関係の悪化などが挙げられる。
中国最高指導部である中央政治局常務委員会は本来、党内各派勢力の均衡を保つ場であり、各派閥の代表人物が常務委員に選ばれている。陳氏は、「最高指導部における習近平氏の発言権は、世論が推測するほど強くないのでは」とした。
また、陳破空氏は国家主席の任期撤廃案について、最初に報道した出どころにも注目した。
最初に報じたのは国営新華社の英語電子版だ。その後、新華社が英語から中国語に翻訳した記事を掲載し、国内向けにも報道した。この逆輸入の報道方法に多くの中国国民が困惑したという。
*当局、国内世論に神経をとがらせる
国家主席任期撤廃案の一報は中国国内でも大きな波紋を呼んだ。
英語メディア「チャイナ・デジタル・タイムズ」によると、25日以降、中国当局はソーシャルメディア「新浪微博」や「網易」などにおいて、「連続任期」「憲法修正案」「憲法規定」「選挙期限」「私は同意しない」「移民」などのキーワードが含まれている投稿に対して厳しい検閲を行った。
中国国内ネット監視をくぐり抜けてツィッターに投稿した中国人のネットユーザーによると、微博では当局の規制対象となるキーワードを入れて投稿すれば、そのコメントだけでなく、アカウント自体が封鎖されるという。
また、一部のユーザーは「今回のような検閲を見たことがない」と、国内世論に神経をとがらせている当局の対応を指摘した。
(翻訳編集・張哲)
【ニュース提供・大紀元】
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