〇米国が上げ過ぎか、日本株が出遅れか〇

NY株の上昇が止まらない。26日のNYダウは223ドル高の26616 ドル。日経平均との絶対値差は2984ポイントなった。過去には 4000ポイント開いていたこともあったので、乖離が開いてもおかしくはないが、拡大ピッチは早過ぎる様に見える。

主犯が明らかになった。投資情報会社リッパーの発表によると、 米国を拠点とする株式ファンドへの週間資金流入(24日までの 週)が234億ドル、とりわけハイテク株ファンドへの資金流入が 17億ドル、2000年3月以降で最大となった。インテル株10%急騰 などに貢献したと見られる。バンカメ・メリルの調査リポートで は、株式に332億ドル流入、株式アクティブファンド、テクノロ ジーファンド、米インフレ連動債が過去最高水準の資金を集めて いると言う。新興市場株には81億ドル流入し、過去2番目の規模(余談だが、日本の「投信」は1月第3週に52億円売り越している。 運用主体の差が大きく出ている)。

別の報道では、月末に掛け、米年金基金が資産再配分で米国株を 120億ドル相当売り、債券を240億ドル購入する(クレディ・スイ スの計算モデル)見込みと伝えられた。アロケーション(大原則 の資産配分比率)は急には変えられないので、株式のオーバーウ ェートを調整する必要があり、新年の運用開始の1月は出易い。 一般的には、州及び地方自治体の年金基金は株式約60%、債券約 25%、企業年金では株式50%、債券40%などとされる。再配分対 象規模は1250億ドル相当との試算がある。波乱の芽はこの辺りか。

日本株はこの動きのカヤの外となっている。影響の大きい短期の 投機筋が絡むが、為替市場の動きが中心で特に仕掛け的な印象はない。意外感のあるデータはIMM通貨先物建玉の動向。 23日現在で対ドルでの円売り越しは12万2870枚、前週比3520枚膨 らんだ。110円割れは24日以降なので、この後減少(円買戻し)に 転じた可能性があるが、あまり目線は変わっていない印象を受けた。 ドル円108円維持、切り返しが焦点だが、遅ればせながら米株追随の動きとなってもおかしくないと見る。

今週はポジション調整に影響すると見られるトランプ大統領の一般 教書演説(30日)、米FOMC(30-31日)、米1月雇用統計(2/2)が ある。欧州ではユーロ圏GDP速報(30日)、消費者物価速報(31日)、日本でも月末統計が集中する。 米株押し上げ材料とされる企業業績の好調では、日本でもファナック が今期3度目(したがって四半期毎)の上方修正を行った。想定レー トは105円/ドルに据え置いたが、為替が安定しないとなかなか評価されないのが悩ましい所だ。決算発表本格化で決算ラリーが中心になると想定される。


以上

出所:一尾仁司のデイリーストラテジーマガジン「虎視眈々」(17/1/29号)



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情報提供元: FISCO
記事名:「 【休日に読む】一尾仁司の虎視眈々(1):◆需給主導で波乱含みの月末攻防◆