北京市でこのほど発生したアパート火事を発端に、当局は火災防止対策として低所得者(低端人口)の出稼ぎ労働者を強制退去した。臨時の受け入れ施設・支援策がないため、最低気温氷点下の酷寒のなか、家を失った人々が街中に溢れだしている。底辺層への集団差別、違法行為だと非難の声が噴出した。

 18日、北京市近郊の労働者向けの格安アパートで19人死亡の火災が発生した。当日、同市政府は再発防止の対策として、「火災を誘発しうる要因を精査、整理、整頓」という通知を出した。直後、当局が出稼ぎ労働者の強制立ち退きを一斉にはじめ、同日夜から、家を失った人々は露天で過ごしている。

 インターネットの映像では、警察や市職員などが重機で出稼ぎ労働者密集エリアの屋台や売店、簡易住宅を手あたり次第に取り壊している。「その乱暴ぶりは、ナチスがユダヤ人を排除する映画のワンシーンのようだ。唯一登場していないのはシェパードだ」などネット上で批判のコメントが殺到した。

 一部の中国メディアの報道によると、当局は停水、停電、家財道具の強制処分、出稼ぎ労働者への賃貸禁止などを併用している。住居を失った人は10万人以上だとう。

 不動産会社や慈善団体などは、臨時の宿泊所、私財の一時保管など被害者への支援に乗り出しているが、そのうちの「同舟家園(慈善団体)」は「予知せぬ理由により、援助を停止する」とネットで告知した。当局が圧力をかけていると思われる。

 いっぽう、出稼ぎ労働者を多く雇用した複数の速達会社は人手不足に陥り、あいつぎ全部または一部の業務停止を発表した。

 北京市政府は人口の増加を抑止すると宣言し、8月から地方戸籍の「外来人口」の締め出しをはじめた。中国の有名な人権活動家、同市在住の胡佳氏は大紀元本部の取材に対し「北京市は今回の火災を出稼ぎ労働者を追い払う絶好の口実にしている」と述べた。

 学者、弁護士、アーティスト、ジャーナリスト、作家など110人余りが最高指導部宛ての公開陳情書に署名し、低端人口の基本的人権を守り、今回の強制排除をただちに中止することなどを求めている。

 署名に参加した北京大学法学部教授の賀衛方氏は、「『低端人口』という言葉自体が、ナチスと同レベルの差別用語だ」と批判した。

 (記者・陳漢、易如 翻訳編集・叶清)

【ニュース提供・大紀元】




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情報提供元: FISCO
記事名:「 北京市から出稼ぎ労働者を締め出し 氷点下で路上生活 批判噴出