欧州中央銀行(ECB)は27日に定例理事会を予定している。この会合で、ECBは異例な緩和策を現状で維持すると見られている。

ドイツ連銀は月報で、今年第1四半期のドイツ経済成長ペースが大幅に加速するとの見解を示した。また、今まで域内の懸念材料となってきたユーロ圏の債務が2016年、対GDP比で大幅に縮小したことも明らかになった。加えて、注目されていたフランス大統領選挙の第1回目投票がサプライズなく終了。最悪のシナリオとなっていた極右派ルペン氏と、極左派のメランション氏の決選投票が回避されたことで投資家心理も改善した。

中道の無所属マクロン氏が23.8%、右政党・国民戦線のルペン氏が21.7%で勝利。想定されていた通り5月7日に予定されている決選投票に臨むことになった。世論調査によると決選投票の予想はマクロン氏61%、ルペン氏39%で、現状で、ルペン氏が逆転勝利することはかなり「困難」と見られている。フィヨン氏は敗北を認めた上で、「極右に反対票を投じるには、ほかに選択肢はない」と述べ、マクロン氏支持を表明した。

こういった環境下、ECBの定例理事会後に予定されている会見でドラギ総裁が「経済は依然異例な緩和が適切」との方針を維持するかどうかに注目が集まる。フランス大統領選挙第1回目の結果を受けて、一部のエコノミストはECBが「長期にわたり金利は現状またはそれ以下の水準で維持すると予想する」とのフォワードガイダンスの変更を6月に行うとの見方を再度強めた。従来のタイミングから6ヶ月前倒ししておりユーロのショートカバーに繋がった。

ルペン候補は決選投票に向けて自身の極右派のイメージを少しでも緩和させるため党首の座を一時的に退くと発表。決選投票に焦点をあてる。昨年の英国の欧州連合(EU)離脱、米国の大統領選挙でのトランプ大統領の勝利など、もちろん、決選投票では想定外の結果がでることも除外できない。また、フランス大統領選挙後には英国も6月に総選挙を予定している。さらに、9月にはドイツの総選挙も控えている。同時に英国の欧州連合(EU)離脱に向けた交渉も始まり欧州の不透明感が完全に払しょくすることとは考えづらく、ECBは結局、緩和策を維持することになりそうだ。このため、ユーロの上昇も限定的と考える。





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情報提供元: FISCO
記事名:「 NYの視点:ECBの早期緩和解除への思惑も再燃、定例理事会控え