短期投機、投資家の円のネット売り持ちポジションは前週から減少し年初来で最低水準に並んだ。ユーロの売り持ちも前回から減少し、2014年来で最低となった。

今週は、米連邦準備制度理事会(FRB)が公表予定の連邦公開市場委員会(FOMC)(3月14−15日開催分)の議事録、また、金融政策決定の鍵を握る3月の雇用統計の結果で、利上げペース加速の可能性を探る。さらに、週末に米中首脳会談を控え、トランプ政権による貿易政策や税制改革の行方も相場に影響を与える。税制策では、潜在的にドル高につながると見られる国境税の行方に焦点が集まる。ただ、税制策の具体策提示の遅れが警戒材料となり短期的にドルの上値を抑制する可能性がある。

今週は、米10−12月期の国内総生産(GDP)確定値が予想を上回ったほか、ローゼングレン・ボストン連銀総裁が年4回の利上げの必要性を指摘したことから、年内の利上げペース加速の思惑が再浮上した。ただ、FOMCの中で影響力が強いフィッシャー米FRB副議長、ダドリーNY連銀総裁に加えて、2017年度の投票権を持つエバンス・シカゴ連銀総裁はそれぞれ見通しが12月のFOMC以降大きな変化はなく、年3回の利上げが妥当だとの見方を維持。3月雇用統計で非農業部門雇用者数は、ポジティブサプライズとなった2月+23.5万人から鈍化する見込みで、利上げが依然緩やかなペースに維持されるとの見解を後押しする可能性がある。

トランプ大統領は6−7日にかけて、中国国家主席をフロリダ州にある大統領所有のリゾート施設「マーアーラゴ」に招待。スパイサー報道官によると、両首脳は、第1に地域の地政学的リスクで北朝鮮や台湾、第2に経済、第3に貿易改革、といった2国間で共有する問題を協議するという。通貨問題も議題になると見られる。前回の為替報告では法規制(Trade Facilitation and Trade Enforcement Act of 2015)に従って、米国財務省は現時点で3つ全ての条件、クライテリア(1:対米国の貿易黒字が200億ドル以上、2:経常黒字がGDPの3パーセント以上、3:この1年間のネットの為替介入額がGDPの2パーセント以上)を満たしている国、経済は無いことを確認した。しかし、中国、日本など6か国が監視リストに挙げられた。米国の貿易改革では、中国だけでなく日本も標的とされるとの警戒感も根強く、米国の金利先高感が強いにもかかわらずドルが当面伸び悩む可能性がある。

■来週の主な注目イベント

●米国

3日:3月ISM製造業景況指数:予想57.1(2月57.7)、ダドリーNY連銀総裁が講演、ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁が講演、ラッカー米リッチモンド地区連銀総裁が講演
4日:2月貿易収支:予想‐447億ドル(1月‐485億ドル)、タルーロFRB理事
5日:FRBがFOMC議事録(3月14−15日開催)を公表、3月ADP雇用統計:予想+18.9万人(2月+29.8万人)、3月ISM非製造業景況指数:予想57.0(2月57.6)
6日:ウィリアムズ米サンフランシスコ連銀総裁が講演
7日:3月雇用統計:非農業部門雇用者数:予想+17.7万人(2月+23.5万人)、失業率:予想4.7%、3月平均時給:予想前年比+2.7%(2月+2.8%)ダドリーNY連銀総裁が講演
6−7日:トランプ大統領、中国主席をフロリダ州にある大統領所有のリゾート施設「マーアーラゴ」に招待

●地政学的リスク
ガザ紛争
イラク、イスラム過激派組織「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」
シリア
イエメン
トルコ





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情報提供元: FISCO
記事名:「 NYの視点:今週の注目:米中首脳会談、FOMC議事録、米雇用統計