こんにちは、フィスコマーケットレポーターの三井智映子です。これから、「三井智映子と始めるiDeCo入門」として、これから皆さんといっしょに個人型の確定拠出年金である「iDeCo(イデコ)」について考えてみたいと思います。

○節税効果を「利回り」で考えると…こんな商品はほかにない!

個人型確定拠出年金とは、現役世代のうちに、毎月いくら積み立てるのか、どんな金融商品で運用するのかを自分で決めて、積み立てた元本と利益を老後に受け取る制度。公的年金とは別に自分でつくる年金です。愛称は「iDeCo(イデコ)」。その最大のメリットは税金が優遇されることです。
節税メリットは、大きくわけて3つあります。
(1)まず、掛金の全額が所得控除となるため、その分、所得税や住民税の負担が減ります。収入や投資額によっても異なりますが、なんと掛金の55%から15%の節税効果があります。
(2)また、運用によって得た利益には、通常は税金(2017年現在で20.315%)がかかりますが、iDeCoの場合は非課税!
(3)さらに、受け取るときにも税制優遇があります。

では、具体的に節税効果を見ていきましょう。

●独身OLのAさん(27歳)の場合
・年収300万円
・毎月の掛金が15,000円なら、年180,000円の全額が控除対象。節税効果は「年27,000円」
・掛金を33年間積み立てて年3%で運用した場合、利益(4,187,470円)に対する節税効果は「837,494円」

●会社員のBさん(35歳)の場合
・年収650万円
・毎月の掛金が23,000円なら、年276,000円の全額が控除対象。節税効果は「年82,800円」
・掛金を25年間積み立てて年3%で運用した場合、利益に対する非課税効果は「671,636円」

●自営業のCさん(43歳)の場合
・年収が1000万円
・毎月の掛け金が68,000円なら、年816,000円の全額が控除対象。節税効果は「年350,880円」
・掛金を17年間積み立てて年3%で運用した場合、利益に対する非課税効果は「839,020円」

利益に対する節税効果は運用の成績、相場の動きによって変わってきますが、掛金に対する節税効果はその人の所得と掛金が変わらなければ基本的に同じです。iDeCoの投資先には元本保証型の定期預金などもあるので、損をするのがこわいという人でも、毎月の積立だけで十分節税メリットがあります。

先ほどの例で掛金に対する節税効果を利回り換算すると、独身OLのAさんのケースで15%、Bさんなら30%、Cさんなら43%にもなります。この利回りは、基本的には所得によって変わり、高所得者ほど税金面でのメリットが大きくなります。
とはいえ、年収300万円でも節税効果は15%。iDeCoの節税メリットがものすご~く大きいことがわかりますよね。

○iDeCoはなんでこんなに節税メリットが多いの?

個人型確定拠出年金は国の制度であり、「老後に必要なお金は、公的年金では足りないから、自分で用意してくださいねー!」という国からのメッセージでもあります。だからこそ、税金面の優遇がたくさんあるのです。
2001年10月にスタートした制度ですが、スタート当時は対象者が一部のサラリーマンや個人事業主の方など、限られた人だけでした。
それが今回、2017年1月から対象者の枠が拡大されて、20歳以上60歳未満のすべての人(国民年金基金の払い込みを免除されている人や国民年金非加入者を除く)が加入できるようになったのです。これにより、会社が確定拠出年金を導入していないや専業主婦の方も、iDeCoで節税メリットを受けられるようになりました。

◯掛金に上限額ってあるの?

掛金は職業などによって上限額が違います。自営業者の方など(第1号被保険者)と、企業型確定拠出年金等に加入していない従業員の方など(第2号被保険者)では、掛金(積立額)の限度額が異なります。

1か月あたりの積み立て限度額を簡単にご紹介すると、以下の通りです。
●企業年金ありの会社員:月額12,000円
●企業年金のない会社員:月額23,000円
●専業主婦:月額23,000円
●自営業者や無職の方:月額68,000円

会社員の方は企業年金の種類によって異なったり、自営業者は国民年金基金などと合わせて68,000円だったりするので、詳細はそれぞれ確認してくださいね。

◯60歳まで引き出せないのはデメリット?

iDeCoでは、積み立てたお金を60歳になるまで引き出せないことになっています。
この仕組み、一見するとデメリットのように思えるかも知れません。でも、逆に考えると、「ちょっとお金が必要だし、引き出しちゃおうかな」といった形で老後に必要な資金を取り崩してしまったりすることが防げるので、「自分」で年金を作っていくうえでは、メリットとしても考えられますね。

○iDeCoは、どの金融機関ではじめるのが正解?

iDeCoをはじめる際には、いくつかの手数料がかかります。まず加入時や運用時に、年金のとりまとめを行う国民年金基金連合会と資産管理を代行する信託銀行などに支払う手数料、そしてiDeCoを取り扱う金融機関に支払う運営(口座)管理手数料です。前者はどの金融機関でも同じ金額ですが、後者は金融機関ごとに違います。
さらに、運用できる商品のラインアップは金融機関によって異なり、運用時にかかるコストも商品ごとに違ってきます。このため、年金のように長期で運用することを考えると、金融機関選びが非常に重要ということがわかります。

特に注意が必要なのが、毎月支払う必要がある運営(口座)管理手数料。最近ではキャンペーンで手数料無料をうたっている会社も多いのですが、気をつけたいのは、そのキャンペーンが終了した後の手数料体系。なかには「残高50万円以上なら無料」といった条件が付いている会社もあったり、掛金の額によっては手数料が発生してしまうところもあったりするようです。
たとえば楽天証券の場合は、最初の1年間は誰でも無料。その後、残高10万円以上でずっと無料になる仕組み。つまり、毎月9000円以上積み立てていけば、ずっと無料になる計算です。金融機関を比べるときは、こういったキャンペーン終了後の手数料体系をよく見ておいたほうがいいでしょう。
また、意外と見落としがちで、でも大切なのがiDeCoの管理画面。これも会社によって使い勝手が異なります。たとえば、iDeCoと株式、投資信託など他の金融商品といっしょに管理できる会社もあります。iDeCoとは長く付き合っていかなければならないので、こういった「メンテナンス性」についてもしっかりチェックして金融機関選びをしたいものですね。

三井智映子と始める「iDeCo入門」は、三井智映子の見解でコメントしています。

フィスコマーケットレポーター 三井智映子



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情報提供元: FISCO
記事名:「 三井智映子と始めるiDeCo入門(1)節税メリットは最大55%!高所得者ほどおトクな節税利回り