ECBは定例理事会で市場の予想通り政策金利を据え置き、量的緩和(QE)プログラムも3月いっぱい国債等の買い入れ額を月800億ユーロで維持、4月以降月600億ユーロ規模で年末まで継続する方針を再確認した。「金利は長期にわたり現行またはそれ以下の水準にとどまる」とのフォワードガイダンスも維持した。見通しが悪化した場合に、QEの規模や期間を変更することを再確認。ドラギ総裁は会合後の会見で、インフレが最近上昇したが、エネルギー価格の上昇が主な要因だと繰り返し、「基調的なインフレは依然抑制されている」と指摘。持続的なインフレの確信がまだ持てないと慎重姿勢を維持、ECBがインフレで持続的な上昇が見られるまでQEプログラムを継続する方針を示した。また、QE終了前の利上げはないと言及。QEの行方で、拡大も出口政策も協議しなかったことを明らかにした。

一方で、ECBは最新の見通しを発表し、国内総生産(GDP)の2017年の成長見通しを1.8%(1.7%)、2018年1.7%(1.6%)へそれぞれ引き上げたほか、インフレの見通しも2017年:1.7%(1.3%)、2018年:1.6%(1.5%)へそれぞれ引き上げた。環境が改善したため、メンバーは期限をむかえたTLTRO(貸出条件付きの流動性供給オペ)の必要性を感じず議題としても挙がらなかったと、ドラギ総裁が明らかにしている。必要があれば緩和手段としてTLTROも選択肢とすると加えた。また、切羽詰まった追加緩和の必要性が後退したため、「責務内で全ての手段を用いる」の文言も削除したと指摘した。

ドラギECB総裁のハト派色、警戒感を弱めた発言を受けて、一部エコノミストは早くて6月の会合でフォワードガイダンスが大幅に変更されると見ている。


●ドラギECB総裁会見主なポイント

*ハト派的
「経済のリスクは後退も、依然下向き」
「基調的なインフレは依然抑制」
「必要とあれば、TLTROも選択肢に」
「金利は長期にわたり現行またはそれ以下の水準にとどまる」とのフォワードガイダンスを維持「見通しが悪化した場合に、QEの規模や期間を変更する」

*タカ派的
「新たなTLTROに関する議論はしなかった」
「環境の改善で、メンバーはTLTROの必要性を感じなかった」
「デフレリスクは大幅に後退」
「市場ベースのインフレ期待は上昇した」
「責務内で全ての手段を用いてとの文言を削除、緊急性が後退したため」
「国内総生産(GDP)の2017年の成長見通しを1.8%(1.7%)、2018年1.7%(1.6%)へそれぞれ引き上げ。また、インフレの見通しも2017年:1.7%(1.3%)、2018年:1.6%(1.5%)へそれぞれ引き上げ」

*中立
「QEの行方で、拡大も出口政策も協議しなかった」





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情報提供元: FISCO
記事名:「 NYの視点:ECB、慎重ながら楽観的