米労働省が発表する1月雇用統計は、米国の労働市場が最大雇用の水準にあることを再確認し、利上げ軌道の継続を後押しする結果が予想されている。米国労働省が発表する雇用統計の先行指標となる雇用関連指標の中でも最も相関関係が強いとされる民間部門の雇用者数をあらわすADP全米雇用統計の1月分は前月比+24.6万人と、予想外に20万人超えとなり、昨年6月来で最大の伸びとなったため、全体の雇用もポジティブサプライズが期待されている。ただ、「小さい政府」を唱えているトランプ大統領は連邦職員を削減しているため、民間部門の増加と相殺される可能性には注意が必要。

市場エコノミストは失業率が4.7%と引き続き10年ぶりの低水準を維持、非農業部門雇用者数は前月比+17.5万人と、12月+15.6万人から伸びが拡大すると予想している。ドル高や世界経済の低迷で停滞していた製造業の雇用も引き続き改善基調にあり、全体指数をさらに押し上げる可能性が強い。最新1月の全米の製造業業況を示すISM製造業指数の中の雇用指数は56.1と2014年8月来の高水準を記録した。

米連邦公開市場委員会(FOMC)のほとんど全てのメンバーは労働市場が最大雇用、またはそれに近いと判断しているものの、スラックが依然存在し、改善の余地があると依然慎重な姿勢を崩していない。利上げも辛抱強く、緩やかなペースのみ正当化されると見ている。賃金の伸びがさらに拡大し、不完全雇用率(U6)などスラックにさらなる改善が見られると、利上げペースが加速するとの見方にドル買いが再燃する可能性がある。

■1月雇用統計の先行指標

・米ADP全米雇用報告:前月比+24.6万人(予想:+16.8万人、12月:+15.1万人
←+15.3万人)

・米ISM製造業指数雇用:56.1(12月52.9)

・NY連銀製造業景況指数
雇用(現状):-1.7(12月−12.2)
週平均就業時間:−4.2(12月−7.0 )

・フィラデルフィア連銀製造業景況指数
雇用(現状):+12.8(12月+3.6、6ヶ月平均‐2.4)
週平均就業時間:+6.8(12月+7.1、6か月平均−0.4)
6か月先
雇用:38.6(12月24.2、6か月平均23.0)
週平均就業時間:22.5(12月32.3、6か月平均20.3)

・リッチモンド連銀製造業景況指数
雇用(現状):8(12月-1)
週平均就業時間:5(12月11)
賃金::11(12月19)
6か月先
雇用:27(12月22)
週平均就業時間:10(12月13)
賃金:31(12月35)

・消費者信頼感指数

雇用(現状)
十分:27.4(12月26.0、前年同月23)
不十分:51.1(12月51.3、53.4)
困難:21.5(12月22.7、23.6)

雇用(6か月先予想)
増加:19.8(12月21.7、前年同月13.4)
減少:14.0(12月14.1、前年同月17.0)
不変:66.2(12月64.2、前年同月69.6)

所得(6か月先予想)
増加:18.0(12月21.5、前年同月18.6)
減少:9.6(12月8.6、前年同月10.7)
不変:72.4(12月69.9、前年同月70.7)

・失業保険申請件数

件数 前週比 4週平均 継続受給者数

01/21/17     259,000   22,000       245,500
01/14/17     237,000   -12,000       247,500  2,100,000
01/07/17     249,000   12,000       257,000  2,059,000
12/31/16     237,000   -30,000       258,250  2,093,000
12/24/16     267,000   -8,000       263,500  2,116,000
12/17/16     275,000   21,000       263,750  2,105,000
12/10/16     254,000   -4,000       257,750  2,039,000
12/03/16     258,000   -10,000       252,500  2,021,000

■市場予想
失業率:4.7%(12月4.7%)
非農業部門雇用者数:前月比+17.5万人(12月+15.6万人)
民間部門雇用者数:前月比+17万人(12月+14.4万人)
平均時給:前月比予想+0.3%(12月+0.4%)




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情報提供元: FISCO
記事名:「 NYの視点:米1月雇用統計に期待広がる、スラック度合いが依然鍵